品質管理上で起こりうる問題点とその解決策

2020年 04月10日

商品の品質は、顧客にとって、企業のイメージを決定づける大切な要素です。
しかし、企業側が顧客の要求を満たし続けることは、極めて難しい……。
何故なら品質に対する顧客の要求レベルは一定ではなく、常に上へ、上へと変化していくからです。
「もっと洗浄能力がある洗濯機を!」
「もっと機能がたくさんある電子レンジを!」など、
「顧客」としての私たちにとっても身に覚えがあるのではないでしょうか?
より使いやすく、より良いものを、という要望が常に出てくるのは当然ですよね。

顧客の要求レベルと実際の商品の品質とのギャップは主に2つで、「品質リスク」「品質バリュー」があります。
「品質リスク」は、商品の品質が顧客の要求するレベルに追いついていないことです。
こちらは顧客からのクレームの原因となってしまいます。
もうひとつが「品質バリュー」で、顧客が気付いていない商品の要求のことを示します。
顧客が思いもしなかった改良をほどこした商品を提供すれば、自社のファンを増やす可能性は大きいでしょう。

品質管理において重要なのは、これら2つを解決することです。
そのためには、社内に品質マネジメントに必要なシステムを構築するだけでなく、社員一人一人が「顧客」の立場に立ち、システムを運用する必要があります。

それではこのような品質管理の現場においてはどのような問題が起こるのでしょうか?

新技術導入のメリットとリスク

先に述べたように、品質に対する顧客の要求レベルは常に上昇しています。
商品に対し「より便利で、性能が良く、安全な商品を、適正な価格で」と望むのは当然と言えます。
このように顧客のニーズの高度化、そして多様化が広まり、企業は新しい技術を取り入れ積極的に新商品を作らねばなりません。

しかし、企業が新しい技術を導入する際には、当然リスクがあります。
どのような問題が起こるのかを事前に検討しておかなければ、製品のライフサイクルが短くなりつつある現在、生産を開始してから不具合が発覚した場合に開発コストを回収できないままに生産終了という企業にとって恐ろしい事態になりかねません。
また、新しい技術の導入には、関連企業や新規の仕入れ業者、そして納品先など様々な企業と連携する必要が出てきます。

同時に、工場の海外移転やベテラン技術者の退職に伴って、企業内部に「品質のエキスパート」が少なくなっています。
ベテランの技術が蓄積されないままに、作業の質が低下するような事態は避けなければなりません。

品質トラブルを回避するために

これらの問題を回避するためには以下の4つのポイントが大事になります。

部門間での連携

製造の際のリスクなど、部門間でしっかり連携を取っていくことが大事になります。
例えば、設計部門では新製品の材料の特性から、製造中に起こり得るリスクを把握していても、その情報が製造部門に伝わっていなければ、取り扱いを誤り不良製品が出来上がってしまう可能性がありますよね。
その場合設計などの上流部門に「製造などの後工程はお客様」だと思い、しっかり情報を伝えられていればこのようなトラブルは高確率で回避できます。

顧客のニーズに沿って設計仕様を変更したら、変更した情報だけではなく、顧客ニーズ、仕様、想定されるリスクなど品質そのものの情報を正確に伝える必要があります。

製造工程設計の作り込み

生産が始まってすぐに不具合が発生して、製造工程を見直すというケースもよくあると思います。
その場合、生産スケジュールに遅延が発生したり、資源や時間を大幅に無駄にしてしまうというリスクがあります。
この場合は製造工程を作り込む際に資源を投入し、リスクを最小限に食い止める工程を設計すれば回避できるでしょう。

サプライヤーマネジメントの徹底

上記の対策を十分しており、しっかりした製造工程を作り込んだとしても、不具合が見つかり、製品を世に出せなくなることがあります。
特に新しい技術を導入する際には、仕入先からの情報に対してどうしても自社内での理解が浅く、正しい評価が出来ないため、後になって問題が発覚することが多いです。
新しく取引をする仕入先や調達品は、生産準備段階からしっかりマネジメントし、不具合を低減させる努力が必要です。

技術力を考慮したライン設計

海外工場への移転や若手・派遣社員の増加、ベテラン社員の退職などを見越して、熟練したベテランに頼るのではなく、人材の力量を考慮した余裕のある製造工程を作りましょう。
力量不足の人材は十分な教育を行い、知識を蓄積し、活用できる仕組みを構築します。
これが組織全体の力量アップに繋がる近道になります。

こういった対策を怠らずに取っていくことで、品質トラブルが起こることが無くなる……とは断言できませんが、確実に減ります。
設計・製造にかかわらず企業内のすべての社員の意識が大事ですので、これらのことを頭に入れて心がけていきましょう!

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