製造業にも「ブランディング」って必要なの?

2021年 05月12日

企業のブランド戦略のひとつに「ブランディング」という手法があります。これまでは、おもに大手企業を中心として取り組まれてきた経営戦略の一種でありましたが、ここ最近、中小企業のあいだでもこの手法が積極的に用いられたマーケティング活動をよく目にします。
ただ、B to Bを基本とする製造業界ではまだあまり浸透していないというのが現状で「自分たちには関係ない」と思っている方も多いのではないでしょうか。実は、製造業にこそブランディングがお勧めなのです。
今回はその理由と、ブランディングを行うことでもたらされるメリット、導入する際に気をつけなければならない注意点などを解説していきたいと思います。

そもそも「ブランディング」とは何か?

「ブランド」と言えば、ヨーロッパのファッション・アイテムを連想する方も多いと思います。例えば「ビールだったら〇〇」など、ほとんどの方は自分の好みの銘柄があるでしょう。消費財でなくても、「セキュリティソフトといえば△△が一番だ」という方も多いと思います。その〇〇や△△にあてはまるワードがまさに「ブランド」で、使い方や性質によって「企業ブランド」と「商品ブランド」の2種類に分けることができ、いずれの場合でも「競合との差別化」が最たる目的となります。

その目的達成のために自社や製品の存在意義を明確にして、顧客に与えるイメージを作りだしていくのが「ブランディング」です。
単に、企業・製品を周知させるためだけでなく、「ブランド」を作り、そこに購買動機となるような良好なイメージを付与し、顧客にとってあなたの企業・製品がそのカテゴリーのなかでNo.1・Only 1だと認識していただき、定着させることが、ブランディングの基本概念となります。

B to Bの製造業にも「ブランド力」が求められている理由

情報のあふれる現代、B to Bのビジネスシーンでも購買プロセスのデジタル化が進んでおり、営業の訪問前までに「67%」の購買プロセスが完了しているというデータがあります。多くのお客さまが、企業や営業マンの「顔」が見えない中で、購買を決定しているということになります。
このような取引の際に企業・製品の「顔」となるのが「ブランド」です。ブランドがしっかりと確立されていれば、顔が見えない中でも顧客から信頼を得られ、他社と比べて優位なポジションに立つことができるでしょう。
さらに対面の営業活動にも制限が出ている今日においては、この企業のイメージづくりとなる「ブランディング」がたいへん重要な役割を担ってきます。

「ブランディング」をどのようにして進めていくのか

「ブランディング」は、経営者の想い、従業員や取引先などステークホルダーの想い、お客さまの想いなどをヒアリングすることからはじめます。そして、そのヒアリング内容を集約し、ひとつのステートメントにまとめていく。それを何回も行い検証し、最後に残った言葉が「ブランド・ステートメント」になるのです。
ブランドを構築する際には、この「我が社は□□□だ」というステートメントに基づいて行いましょう。
また、「ブランド」をうまく確立している企業の共通点のひとつに、自社の技術力やビジョンをキャッチフレーズの形にまとめ、わかりやすく表現している特長が挙げられます。そこには、購買ニーズが出てきた際に取引先や業界関係者にすぐに想起してもらう目的があります。
ブランディングを行うには、先ずは自社のアイデンティティをはっきりさせていくことが大切であることが言えるでしょう。

「ブランディング」によって得られるメリットとは

自社の存在意義を明確にすることは、マーケティング効果だけでなく、従業員のモチベーションや業務効率の向上といった社内への便益ももたらします。「ブランディング」は顧客や取引先だけでなく、企業内にもプラスの効果をもたらしてくれるのです。

企業にとっての「ブランディング」の主なメリットとしては、次の5つがあります。

  • 顧客の信頼と高い満足度が得られる。
  • 顧客のロイヤリティを高めることができる。
  • 値引き合戦に巻き込まれることなく、高い価格で売ることができる。
  • 製品の性能を超えた価値を獲得できる。
  • ステークホルダー(従業員、代理店、下請け、株主など)が自信と誇りを持つことができる。

ブランド戦略を行うにおいての注意点

ブランディングの結果として出てきた「ブランド・ステートメント」をもとに、企業や製品のスローガンを作成していくことになりますが、ここで注意することは、独創的かつ印象的なスローガンを立てなくてはならないということです。どこにでもあるような言葉では、見過ごされてしまいますし、お客さまの心を掴むことはできません。お客さまに共感していただけて、かつユニークな表現が求められています。
しかし、ただユニークと言っても、あまり聞きなれない難しい言葉では効果がありません。たとえ同じ業界のお客さまであっても、購買担当者が専門家であるとは限りませんので、購買担当者はもちろんのこと、決裁者である経営層にも分かる言葉を選ぶようにしましょう。

さらに、「ブランド」は、確立されたその日から、徐々に色あせていってしまいます。常にメンテナンス・アップデートが必要なものであることを認識しましょう。
業界の動向、お客さまの変化に気を配り、「ブランド」のポジショニングを微調整していくことが重要です。そして、変化に対応できていないと判断した時は、せっかく確立された「ブランド」であっても、思いきって「リブランディング」していくことが大事です。

まとめ

「ブランディング」は、競合企業・製品と差別化を図るためには必要不可欠のものです。他社から追いつかれる心配のない、圧倒的な技術力や製品を誇る企業には不要なものと思われがちですが、そういった企業にとっても、将来のための「ブランド構築=ブランディング」を行っています。
お客さまに評価され、覚えていただき、購買していただく。それこそが、「ブランド」のチカラです。そして、確立された「ブランド」は、目には見えませんが、企業にとっての大切な財産となるのです。

「ブランド」という財産を生みだし、守り、育てていく。製造業のビジネス戦略の中にも、「ブランディング」を組み込んでみてはいかがでしょうか。

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