「働き方改革」とは?いまさら聞けない基本から注意点まで

2021年 05月14日

2019年4月に「働き方改革関連法案」の一部が施行されました。施行からしばらく経ちましたが、その内容や対策についてよく理解が出来ていないという方も、まだ多くいらっしゃると思います。
そこで今回は、どのようにして取り組んでいけばよいかなど、いまさら聞けない「働き方改革」の基本情報や注意点を解説していきます。

「働き方改革」とは何でしょうか?

政府主導による「働き方改革」の議論は、2016年頃からスタートしました。総理が議長となり、労働界と産業界のトップと有識者が集まった「働き方改革推実現会議」が内閣官房に設置されたのです。
この会議では、「非正規雇用の処遇改善」「賃金引き上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9つの分野について、具体的な方向性を示すための議論が行われました。

その成果として、2017年に「働き方改革実行計画」が取りまとめられ、その実現に向けたロードマップが示されました。
さらに、2018年には「働き方改革法案」が公布され、そこから各企業の働き方改革への本格的な取り組みへの検討がはじまり現在に至ります。

以前から「日本人は働き過ぎる」と言われていたにも関わらず、なかなかその改革は進んでいませんでしたが、この法案の施行が日本の労働環境を大きく変えるきっかけとなりました。

「働き方改革」を生んだ社会的背景

「働き方改革」がすすめられるようになった背景のひとつに、深刻な労働力不足問題がありました。
わが国では、2000年頃から労働力人口の減少が目立つようになり、この頃から労働力不足に対する対策が検討されはじめました。「働き方改革」への取り組みは、この延長線上にあると言えます。

内閣府の試算によれば、何の対策も講じなかった場合、2060年の労働力人口は現在の60%程度になってしまうということです。このままでは、思うように新規採用ができず、慢性的な人手不足により、企業活動が計画通りに運ばないという事態が起こってしまうのです。

「長時間労働」の問題も、施行の背景にあります。団塊世代の高齢化に伴って働き手が減少する一方で、低い労働生産性は改善されずに、職場では長時間労働が常態化していました。
また、「育児や介護との両立」など働く側のニーズも多様化し、柔軟な働き方への改革も求められるようになってきました。

こうしたことから、投資やイノベーションによる生産性の向上と、就業機会の拡大や就業意欲を高め、持てる能力を存分に発揮できる職場環境の確立が重要な課題となってきたのです。

「働き方改革」、企業の取り組みは

多くの企業では、「働き方改革」推進担当者を設けて、労働環境の改善に取り組んでいます。生産性向上と長時間労働の減少はもちろん、ワーク・ライフ・バランスを実現する柔軟な働き方を目指して進められており、具体的な内容としましては「生産性の向上」「働く場所や時間の柔軟化」「働き方の多様化」への取り組みが挙げられます。

子育てや親の介護などをしながら働く人や長時間の通勤で疲労している人のために、働く時間や場所を柔軟に決められる「育児休暇制度」「短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」を導入したり、「テレワーク」などのツールを活用する企業も増えています。
長時間労働や処遇格差を是正するためには、時間の使い方を変え、価値創造を高めて生産性を向上していくことが欠かせないと言えるでしょう。

先進的な企業では、単に長時間労働を減少させるだけでなく、従業員一人ひとりの意志やスキル、ライフスタイルに応じた働き方、つまりワーク・ライフ・バランスを実現し、従業員がより良い将来の展望を描けるような施策に取り組んでいます。
また、老若男女、外国人など多様な人材が助けあって働ける職場づくりも進めている企業も増えました。

「働き方改革」では、今後さらに施策を進化させながら、自社の競争力の向上と従業員のライフキャリアの両立を目指していくことが求められています。

働き方改革の課題とは

政府の旗振りのもとで進められている「働き方改革」ですが、実際のところ思ったように取り組みの進んでいない企業が多いことも事実です。その最大の原因は、各企業ともそれぞれ長年続いてきた慣習を持っており、それを変更することが難しいことにあると言われています。

具体的なケースとしては、以下のことが挙げられます。

事業推進とのぶつかり合い

  • 安定的な事業推進に支障の生じる懸念
  • マネジメント上の難しさ
  • 社外を含めた商習慣の変更の難しさ

従業員の懸念・反発

  • 業務負担増への懸念
  • 残業代が減ることへの反発
  • 従業員間での不公平感

などがあります。

これらのコンフリクトは「働き方改革」を推進するためには、高いマネジメント能力が求められ、顧客・取引先との関係性の変革も迫られることを意味しています。さらに、従業員とのコミュニケーションを深め、労働意欲を高め、処遇を改善していく努力も重要です。

まとめ

「働き方改革」により、これまでの働き方の常識が見直されるようになっています。仕事とプライベートとのバランスを意識して、従業員が幸せで充実した生活を送れるように、政府はもちろん企業側の努力も必要です。
さまざまな課題はありますが、生産性の向上や労働力不足を解消していくためには、これからの時代に適した改革が不可欠です。従業員が結婚・出産・育児・介護などのライフステージに応じた柔軟な働き方ができるように職場環境を整えていくことも大切になります。
主旨と背景を理解し、一歩ずつでも「働き方改革」を進めていきましょう。

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