今、注目のワードVUCA(ブーカ)とは?

2021年 07月12日

さまざまに不測の事態がおきてくる現在の世界情勢を端的に表わすワードとして「VUCA(ブーカ)」という言葉が注目されています。ここでは、「VUCA」の意味やその概要、VUCA時代に求められる思考法、日本政府のVUCAに対する取組みなどをご紹介していきます。

VUCA(ブーカ)とは?

VUCAとは、もともとはアメリカで生まれた軍事用語でした。1990年代後半の冷戦終結によって、軍事の世界では従来の核兵器ありきの戦略から不透明な戦略へと変わっていきました。それまでの国対国の単純な対立構造ではなく、テロなどが多発する複雑で混沌とした世界情勢を表わす言葉として作りだされました。
VUCAは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の4つの単語の頭文字をとって造語されました。

その後、2010年代になって、軍事の世界だけでなく、一般社会でも変化が激しく、ますます不確実な時代となってきました。この情勢を指してVUCAという言葉が、軍事だけでなく一般にも転用されるようになったのです。

新型コロナウイルス感染症の拡大や異常気象、さらにはAIの急速な進歩など、社会は激しく変化しています。こうしたVUCAの時代にあっては、既存のビジネスモデルや価値観がすぐに陳腐化していってしまいます。企業が生き残るためには、まったく新しい領域に大胆に移行するような「非連続」的な成長が求められています。
VUCAの意味をよく理解し、新しい時代に向けた企業戦略立案への参考としてご活用ください。

VUCAの4つの言葉の意味は

VUCAのもととなった、それぞれの言葉の意味をみてみましょう。

  • ・Volatility(変動性)

    ITの発展にともなって、市場ニーズや消費者の価値観が大きく変化し、社会・経済に激しい「変動」が生まれています。
    インターネットやスマートフォン、SNSが人々の暮らしの中に浸透し、新しい製品やサービスが次々と生み出されています。さらに、AIやIoTの進化で、社会の「変動性」がますます加速していくことと考えられています。

  • ・Uncertainty(不確実性)

    世界は、まさに「不確実性」の時代を迎えています。例えば、新型コロナウイルスが最終的に日本経済、世界経済にどのような影響を及ぼすのか、現時点では予測が難しくなっています。デジタルネイティブな世代が台頭し、社会の構造が変化しつつあります。また、自然災害や少子高齢化に伴う人材不足など、「不確実性」を助長する要素も増加しています。こうした状況の中では、ビジネス展開を明確に見通すことも難しくなっています。

  • ・Complexity(複雑性)

    高度情報化やグローバル化の進展で、さまざまな要素が「複雑」に絡み合ってきています。単純には、正しい答えが導きだせない状況になりつつあるのです。ガラパゴス化と言われているように、国内での成功体験が、そのまま他の国に通用することは無くなっています。画一的なビジネスのグローバル・スタンダードも崩れつつあります。この「複雑性」をどう紐解き対応していくかは、これからの社会・ビジネスにとって重要な課題となっています。

  • ・Ambiguity(曖昧性)

    「変動性」「不確実性」「複雑性」が絡み合い、社会状況や景気動向は、見通しのつかない「曖昧性」の時代になっています。ビジネスを取り巻く状況も、急速に変化しており、これまでの解決策が通用しなくなっています。絶対的な論理や方法論が生まれにくいこれからの時代には、素早く明確な経営判断で「曖昧性」を乗り越えていくことが求められています。

VUCAの時代に求められる思考法、OODA(ウーダ)ループ

想定外の事象が次々と発生してくるVUCAの時代。これまでの思考法では、正しい答えを導きだすのが難しくなってきました。しかし、逆に、このVUCAの時代にあっては既存の常識を覆すイノベーションなどにより、新たな可能性も生まれてきます。あらゆる企業にチャンスが広がっているともいえます。

そうしたチャンスを手にするためには、従来とは違う思考法が求められています。
そこで、注目されているのが「OODAループ」です。
これまでは、想定外の状況は起こらないという前提のもとに「PDCAサイクル」が重用されてきました。「PDCAサイクル」は、計画通りに業務を進め、改善していくためのフレームワークでした。しかし、先の読めない状況にあるVUCAの時代には、「OODAループ」を活用して意思決定を行っていくべきだと言われています。

「OODAループ」では、次の4つのステップを回していくことで、状況の変化に対応していきます。

1. Observe(観察)

市場や顧客などの外部環境を、生のデータを収集して観察・調査します。そして、その結果をありのままに受け入れていくことが肝心です。

2. Orient(状況判断)

これは、最も重要なステップです。収集したデータを基に、状況を把握し、判断します。そこから仮説を考え、その仮説に基づいて方向性を決定していきます。

3. Decide(意思決定)

具体的な方針やアクションプランを決めます。この時、複数の選択肢を考えて、最も実効性の高いと思われるプランを選んでいきます。

4. Act(実行)

決まったことをスピーディーに実行していきます。このActの結果が出たら、その結果を踏まえて、「1. Observe(観察)」のステップに戻ります。

VUCAに対する政府の動き

政府も、このVUCAに対応すべく動きはじめています。
2019年3月に発表された、経済産業省の『人材競争力強化のための9つの提言(案)~日本企業の経営競争力強化に向けて~』では、3つの「大原則」と6つの「具体的な方策」が提言されています。
その中で、VUCAは「大原則」のひとつとして位置付けられています。提言では、経営トップに対して、「率先してVUCA時代におけるミッション・ビジョンの実現をめざし、組織や企業文化の変革を進める」ことを求めています。VUCの時代にあっては、保守的な減点主義や過度な完璧主義にこだわるあまり、イノベーションの芽を摘んでしまってはいけない、との認識を示しているといえます。

また、文部科学省は、OECDが主導する「OECD Education 2030 プロジェクト」に、2015年から参画しています。同プロジェクトの中間的な概要報告である「OECD Education 2030 プロジェクトについて」では、VUCAの時代における教育の在り方が提言されています。そこでは、VUCAの世界では、「教育の在り方次第で、直面している課題を解決することができるのか、それとも解決できずに敗れることとなるのかが変わってくる」と述べられています。また、「(教育の)カリキュラムも、おそらくまったく新しい方向に進化し続けなければならない」と示唆しています。
日本政府も、VUCAの時代を認識し、それに対応した政策を打ち出しつつあるようです。

まとめ

世界の動向や日本政府の動きを見ていると、着実に「VUCAの時代」が到来していることが分かります。こうした時代にあっては、企業も旧来の常識や思考方法にとらわれることなく、思い切った発想の転換で、新しいアクションを起こしていく必要がありそうです。
「PDCA」から「OODAループ」への転換も重要です。
状況をデータで冷静に観察しながら、的確な状況判断を行い、それに基づいて意思決定をし、スピーディーに実行していくというループを、企業活動にも取り入れてみてはいかがでしょうか。


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