ESG経営とは?長期的な視点での収益向上に注目

2021年 09月13日

ESGとは環境、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)の頭文字から作られた造語です。国連で発表された「責任投資原則(PRI)」のなかで、ESGが投資判断の新たな観点として紹介されたことがきっかけとなり、世界中に広まりました。
企業がESG経営を行うことは、長短期的な企業ブランドの価値向上や持続可能な収益の確保などのメリットがあります。ここでは、ESG経営が注目される背景、SDGsとの違い、メリット、今後の取り組みについて解説します。

ESG経営が注目される背景は

18世紀後半にはじまった「産業革命」以来、産業界は科学技術の進歩を背景に大きな発展を遂げてきました。さまざまな技術革新があり、大量生産・大量消費が実現し、人類はかつてないほどの豊かさを手に入れました。
しかし、その反面、地球環境や社会環境が破壊されるなど、大きなマイナスの影響がでていることも事実です。
ESGの考え方は、こうした経済発展だけを優先してきた企業経営のあり方を改めるべきだとする社会の動きのなかから生みだされてきました。
今、ESG経営は、企業と社会がともに発展していくためのキーワードとして広く注目されています。

SDGとの違いは?

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を取った言葉で、国連に加盟するすべての国が、2016年から2030年までの15年間にわたって取組むべき共通目標です。
日本においても、日本経済団体連合会や各業界団体、地方銀行、さらには、個別の企業でもSDGsへの取組みを進めており、SDGsは、すでにビジネスの世界では「共通言語」となっています。
最近では、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、個人のレベルでも環境問題や社会課題への意識が高まりを見せています。このため、環境問題や社会課題に配慮していない企業は、消費者から厳しい目でみられることになり、業績の拡大も難しくなってきます。
ESGとSDGsは、一見別物に感じられますが、実は、ESGとSDGsには共通した項目が数多くあります。ただ、SDGsは世界で目指すべき共通の目標が示されていますが、ESGは企業それぞれが目標や指針の設定を行っていく性格のものです。
今日では、SDGsの達成目標をESG経営に取り込んで事業展開を図っている企業も増えています。

ESG経営のメリット

企業がESG経営を展開することのメリットは幾つもありますが、ここでは、主な3つのメリットをご紹介します。

  • ・企業イメージの向上
    ESG経営で実施した施策を公表していくことで、企業のイメージ向上が図れます。近年では、企業は自社の利益追求だけでなく、幅広い社会貢献性が求められています。地球環境に配慮した製品の開発や、働き方改革に積極的な企業は、社会から高い評価を受けています。これからは、こうした評価ポイントのひとつとしてESG経営に取組んでいるかどうかも重要な要素となります。ESG経営への取組みは投資判断としても重視されており、資金調達にも有利に働く可能性があります。また、企業イメージの向上は、優秀な人材の確保にもつながります。

  • ・経営上のリスクが軽減
    経営の舵取りがますます難しくなっている今日、ESGを重視した経営はさまざまなリスクを回避できると期待されています。ESGは、企業価値の向上を目指す施策であり、経営の上でリスクの少ない道を選ぶ指標として効果を発揮します。
    事実、ESGに対する管理レベルの高い企業は、資本コストが低く、業績の安定性も高いという研究結果も発表されています。

  • ・新規事業の創出
    ESG経営によって、ビジネスチャンスも広がります。例えば、ESGの観点に立った、環境問題や社会課題を解決する製品・サービスなどのニーズは高まりを見せており、事業の拡大に貢献すると考えられています。また、ESG経営に取組む企業は、信頼できる企業として評価され、取引の機会が増大していくと期待されています。
    ESG経営は、新規事業を生みだし、企業の新たな可能性を創りだす取組みといえます。

ESG経営の今後

日本においてもESG経営への関心が高まっており、今後ともESGへの取組みはますます活発になっていくと予想されています。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、テレワークなどを含む働き方改革や従業員の健康管理などが見直されています。ESG経営は、結果として、コロナ対応や従業員の負担軽減につながる取組みであることから、ESG経営は、今後もさらに重視されていくことと考えられています。
ESG経営は、企業を取り巻くすべてのステークホルダーとの関係性の中で、企業が安定的に長期に成長できる経営をめざすことになります。ESGへの取組みは、これからの企業経営にとって、ますます重要な施策となっていくことでしょう。

まとめ

ESG経営は、社会から歓迎され、企業イメージが向上し、従業員の働き方改革への効果も期待できます。さらに、事業の発展や資金調達にも有利に働きます。ESG経営は、これからの企業運営にとって大きなメリットが見込まれています。
企業にとって、新たな取組みや制度の導入が負担となる可能性はありますが、それを上回るメリットが考えられます。企業の将来のためにも、ESG経営への取組みをご検討されてはいかがでしょうか。


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