ドローンの製造業での活用の可能性は?

2021年 09月28日

2010年にフランスで開発されたドローン。当初は一部の愛好家に利用されるだけでしたが、次第にビジネス面での活用も検討され、今では、さまざまな産業分野で使われています。これまでのドローンの一般的な用途は、空撮・測量・インフラ点検・輸送・農薬散布などが主でしたが、今後は製造業でも幅広く活用されていく可能性があります。 事実、製造業においても、ドローンを導入して業務改善に取り組む企業が出てきています。ドローンは、今後、製造業でどのように使われ、どのように製造業を変えていくのか。その可能性について見てみましょう。

(出典:Rentec Insight

これまでのドローンの主な活用分野

  • ・空撮

    ドローンは、従来とは違ったアングルでの空撮が可能なため、映像制作の現場では積極的に使われており、普及が進んでいます。また、災害時などに、人が入り込めないような場所を撮影できるため、救援活動などに活用されています。

  • ・物流

    Eコマースなどの発展により、世界的に物流量が増大しており、配送は大きな課題となっています。ドローンによる配送は、大手EC事業者Amazonなどではすでに実証実験が繰り返されており、一部では実用化されています。
    また、全天候型の大型ドローンも開発されており、今後、物流の大きな担い手として活躍が期待されています。

  • ・農業

    これまでのラジコン飛行機やヘリコプターに代わって、ドローンを使って空中から農薬散布をする取り組みも増えています。また、ドローンであれば地形を見極めながらきめ細かな農薬散布ができるため、中小規模の耕作地が多い日本では、特に活用が期待されています。

  • ・点検

    ドローンは、老朽化が懸念されている高速道路や橋梁などのインフラの点検にも活用され始めています。

ドローンで生産ラインを見える化するための情報を提供

製造現場では、工場内にドローンを飛ばして生産ラインの3Dモデルを作成し、設備や作業員の配置を把握する取り組みが始まっています。ドローンからのデータと生産設備に取り付けたセンサなどのIoT機器から収集した生産データをマージさせて、生産ラインの状況をリアルタイムに見える化できるシステムが開発されつつあります。ドローンは、工場内のあらゆるデータを収集・分析して生産性を向上させるスマートファクトリー実現のためにも、重要なツールとなりそうです。

ドローンとRFIDを組み合わせて在庫を適正に迅速に管理

製造業では、大量の製品・部品・原料などの在庫量と在庫場所を把握するための棚卸に大きな労力が割かれています。
ドローンとRFIDを組み合わせることで、この棚卸にかかる手間を大きく削減することができます。これは、在庫にICタグを取り付けておき、リーダーを搭載したドローンが倉庫内を飛び回ることで、正確な在庫量と在庫場所をスピーディに把握できるシステムです。すでに、このシステムを活用し始めている製造業もあり、今後は、ますます普及が進むと思われます。

人がアプローチしにくい高所や危険個所の点検もドローンで安全に

先程ご紹介しましたように、ドローンはすでにインフラ設備の点検に利用されていますが、製造業の点検作業においてもドローンを活用する事例が出てきています。
製造業の点検業務では、人がアプローチしにくい高所や危険な設備の点検もあります。ここに、ドローンを活用することで、安全に確実に点検作業を行うことができます。最近では、狭い場所や暗い場所でも安定して飛行できるドローンが開発されており、ダクト内や天井裏などの点検も行えるようになっています。

(出典:Rentec Insight

製造業でドローンを活用するため課題とは

製造業でのドローンの活用が期待されていますが、普及させるためには課題もあります。
最大の課題は、工場内ではドローンに搭載されたGPS制御機能が使えない場所もあるという点です。
一般的に、ドローンはGPS信号によって自身の位置を把握し、自動で補正することで安定飛行を実現しています。しかし、工場内ではGPS信号が届かない場合があるため、操縦者のスキルが高くないと事故を起こす危険性があります。また、ドローンを自律飛行させるにしても、GPS信号が届かない環境では難しいことがあります。
しかし、今後、Wi−Fiやビーコンを使った屋内測位技術や超音波センシング技術などが進化してくれば、この課題も解決されると考えられています。

まとめ

ドローンは、生産ラインの見える化、在庫管理、点検業務への活用など、すでに製造業にとってもいくつものメリットが見えています。
また、これだけにとどまらず、さまざまな領域で実証実験が行われており、さらに活用のシーンは増えていくことと思われます。今後とも、ドローンの最新動向に注目し、自社でも活用できそうな使い方があれば、積極的に導入を検討されてはいかがでしょうか。



[参照URL]
デジタルトランスフォーメーションチャンネル
Rentec Insight

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