実はとっても「ホワイトな職場」だった、ピラミッド建設現場
2018年 12月19日
みなさん、「エジプト」と聞いて何を思い浮かべますか?
おそらく大半の人が「ピラミッド」と答えるのではないでしょうか。
世界七不思議の中で唯一現存する建造物ということで、
まだまだ謎な部分も多いピラミッド。
しかし、最近新たにわかったことがあります。
それは、ピラミッド建設現場の労働環境について。
約4500年前にクフ王が作ったとされる「ギザのピラミッド」。
その労働環境というと、王のために国民が奴隷同然のような扱いを
受けながら黙々と働く…というようなイメージがあります。
裸に近いような格好をした、痩せこけた人々が管理者と思われる人間に
鞭で打たれながら働かされている絵をみなさんも一度は見たことがあるのではないでしょうか。
しかし、どうやらこのイメージは間違いであるという事が最近輝仲になったのです。
ピラミッドを建設した時のベースキャンプと思われる古代都市の研究を進める中で、
「奴隷」のような働き方というイメージを大きく覆す当時の状況が明らかになってきました。
ベースキャンプとなっていた古代都市は「ヘイト・エル=グラブ」と呼ばれ、
クフ王のプイラミッドから約1キロ離れた場所に位置していました。
発見された街を調べてみると、労働者の住居区各区は通りの両側に長い建物が立ち並び、
炉床と労働者40人分の寝床、監督官用と思われる別室が見つかったのだそうです。
また、遺跡の一角からはパンの焼き場、その隣には穀物貯蔵庫と思われる建物群、
家畜を飼っていたとみられる囲いの壁なども見つかっています。
これまでにもピラミッド建設に関わったと見られる人々の勤怠管理のタイムカード、
そこに住む子供たちの学習ノートなどが見つかっており、
従来の、所謂「ブラック職場」の見本のようなピラミッド建設現場のイメージと
実際の建設現場は、かなり違ったものであったということがわかってきているのです。
約6000人が関わっていたと言われるピラミッド建設現場。
労働者たちは朝労働に出て、1日を終えて帰ってくると
勉強をしていた子供たちが家から飛び出してきて、
夕焼けを浴びた、建設途中のピラミッドを背にして、
パンの焼ける匂いを嗅ぎながら楽しく食事をしに行ったりしていたのかも。
想像すると、今まで抱いていた当時のイメージとはかなり違った感じがしますよね。
これから更に研究によって当時の労働環境が明らかになることと思いますが、
現在、労働環境に関する問題が山積みとなっている日本にとって、
4500年前の人間たちの生活の様子が教えてくれることもあるかもしれません。
これからの研究が楽しみですね。
(via 日本経済新聞)