仲卸業者と転売、何が違う?
2019年 03月23日
ここ数年、人気ファッションブランドと人気アーティストの
コラボレーションアイテムなどがが発売されると、
その度に商品をゲットしようとする人たちの長蛇の列がニュースになることが増えてきました。
通りがかった人々は一体何事?!と驚きその場で検索をしてそのブランドやアーティストを知ることになり、
長蛇の列ができる現象そのものも宣伝の一つになってきているようです。
しかし、そこで問題になっているのが「転売屋」の存在。
限定アイテムなどを誰よりも早く買い、ネットオークションやフリマなどに
高額で出品することで儲けを得ている人たちです。
もちろん、大きな組織として存在している転売屋も多くいますが、
最近はスマホの普及と発達で、転売に対する意識も変わり始めており、
自分が好きで行った展覧会やコンサートのグッズなどを自分のものを買うついでに
少しだけ多めに買って転売する、というような人も増えているそうです。
転売を行なっている人としては、自分は仲卸や小売と同じことをしている、
という認識の人も多くなっているようですが、実際、両者の違いは一体どこにあるのか、
みなさん明確に説明できますか?
一番明確な違いは
「転売屋は商品の価格を高騰させるが、仲卸や小売はそれを引き下げる」
ということ。
確かにミクロの視点で見れば、仲卸業者と小売店のやっていることは、
転売屋と変わりはないように見えます。
しかしマクロの視点で見れば、経済全体に与える影響は正反対なのです。
商品の価格というのは、需要と供給のバランスで決まるものですが、
転売屋がそこに存在すると、本来の需要よりも多くの商品が売れてしまうことになります。
その結果、需要過多、供給過少となってしまい商品の価格は高騰してしまいます。
例えば海外から資材を輸入する場合、自分で人を雇い買い付けに行かせるよりも、
仲卸業者を利用した方が大抵は安上がりとなります。
仲卸業者は現地で商品を安く仕入れるノウハウを持っているからです。
さらに大事なのは、仲卸業者同士が競走をしているため、
価格の競争が起き、商品の価格はより安く適切なものへと近づいていくのです。
ノウハウの存在や経済の規模、そして価格の競争。
これらがバランスを保って成り立っているのが仲卸や小売の仕組みです。
その仕組みが全くないのが、転売屋なのです。
仕組みがない状態でものを売る状態が続いていったらどうなるのか…
買いたいものは店頭では品切れが続くようになり、
本当にその商品が欲しかった消費者は手に入れられなくなる…
そう、結局私たちの生活を窮屈にしていくだけなのです。
コンサートのチケットなどはダフ屋行為として今は違法のものとして
きちんと認識され、現在は本人確認やリセール制度など、
売る側買う側の意識も変わってきており、整理されてきた感があります。
現在加熱している転売はファッション分野でしょうか。
今後、少しずつ意識が変化し、転売屋行為がなくなっていくといいですね。