企業の教育研修で見直されているOFF‐JTとは? 手法の特長、OJTとの違いなどを解説!

2021年 05月06日

経営者や人事担当者にとって、人財育成は組織の命運を分ける重要な課題です。
日本企業では、職場で実務を通して教えていくOJTを中心に教育研修を行い、成果を挙げてきました。しかし、近年、OJTとOFF‐JTとの組み合わせによる相乗効果も見直されてきています。ここでは、OFF‐JTとは何か、導入によってもたらされるメリットやOJTとの違い、使い分けのコツなどを解説していきます。

OFF‐JTとは、どのような教育訓練方法なのでしょうか?

皆さまご存知のOJTとは「On The Job Training」の頭文字をとった略称で、実際の職務現場において業務を進めながら行う教育訓練のことです。上司や先輩の指導担当者が、部下に対して業務遂行に必要な知識やスキルを、随時教えていきながら育成していく方法となっています。

一方、OFF‐JTは「Off The Job Training」の略称で、職務現場を一時的に離れて行う教育訓練です。具体的には、外部から講師を招いて行う企業内の集合研修や、外部スクールやセミナーへの参加、通信教育やe-ラーニングの受講などを指しています。

このように両者の教育手法は正反対とも言える内容となっていますが、社員の育成方法として「二元論」にとらえてしまうのは適切ではありません。なぜなら、OJTとOFF‐JTは、どちらも人財育成体系を構築するための「手段」にすぎないからです。
両者の特長を理解したうえで、教育・研修の目的や予算などに応じて、最適な組み合わせを考えていくことが重要となります。

OFF‐JTとOJTは、どう使い分けたらいいのでしょうか?

OJTとOFF‐JTのどちらを採用するのか、または、どう組み合わせていくのかを検討する前に、まずは両者の特長を比較してみましょう。

OJTとOFF‐JTの特長比較

項目 OJT OFF‐JT
育成内容 受講者に応じた独自のカリキュラムが提供できる 育成内容の標準化や指導品質のコントロールがしやすい
育成効果 実際の業務の中で指導を受けるため、学びをすぐに実務で活用できる あらかじめ、学ぶべきポイントを研修プログラムに組み込んでおけるため、普遍的で汎用的なスキルを習得できる
育成コスト 業務の一環として上司や先輩社員が行うため、外部講師を招く必要がなく、低コストで行える 外部の教育専門の講師が行うため、その分のコストはかかるが、社内の指導者(上司・先輩)の機会コストは少なくてすむ

昔から、職人の世界では「仕事は目で盗め」と言われており、現場での経験が重視されてきました。企業でも、新入社員はメンターと呼ばれる先輩社員について、実際の仕事を通して学んでいく制度がとられています。これは、OJTでいろいろな仕事を実際に体験させることで、業務への理解を深め、即戦力として育成していくという制度です。
OJTでは、上司や先輩社員との会話を通して、社内コミュニケーションを高める効果もあります。

一方、OFF‐JTでは、ビジネスマナーや業界動向、マネジメントなどを系統的に学ぶことができます。OFF‐JTでは、ビジネス活動に必要な基礎や理論など、知識の土台となる「プラットフォーム」を教育することができます。こうした「型」を知っておくことは、実務の上でも必ず役に立ってきます。

OFF‐JTに適しているのは、どのような教育内容でしょうか?

OFF‐JTには、
(1)体系的に学べる
(2)多人数の受講が可能で効率的に指導できる
(3)専門的で高度な知識や技術、スキルの学習ができる
(4)指導品質が均質
などのメリットがあります。
多くの企業では、採用後の新人研修でビジネスマナーに関する研修が行われています。
これなどは、まさにOFF‐JT研修です。
OFF‐JTでは、座学だけでなく、グループワークやセッションで受講者が意見を交換する場が設けられており、参加者同士のコミュニケーションの促進も期待できます。
新人研修以外では、各企業では、下記のようなOFF‐JT研修が行われています。
・管理職に昇級する人に向けたマネジメント研修
・中堅社員を対象としたキャリアアップ研修
・特定の業務に従事する人に向けたエキスパート研修

OFF‐JT研修が増えている理由とは?

厚生労働省の令和元年度の「能力開発基本調査」によれば、社員のOFF‐JTまたは自己啓発などの教育訓練に取り組んだ企業は57.5%ありました。その中で、OFF‐JTと自己啓発の両方に取組んだ企業は25.0%で、この割合は年々増加しています。

OFF‐JTのニーズが高まっている理由としては、OJTの指導者である中堅層からシニア層の社員数が少なく、「OJTに時間を割けない」という背景もあります。シニア層では定年退職が進んでおり、さらに中堅層は就職氷河期の影響で、もともとの社員数が少ないというケースも少なくありません。

まとめ

今日では、ほとんどの企業で次世代ビジネスリーダー育成のOFF‐JT研修が行われています。しかし、OFF‐JTでは、経営の原理原則を体系的に効率よく学べるという利点がある反面、せっかく学んだ原理原則を実務で活用できていないという状況も散見されます。
結局、OJTとOFF‐JTを上手に組み合わせて育成計画全体を設計していくことが有効なのです。
よりよい人財育成体制を構築していくためには、OJTとOFF‐JTの特長を把握したうえで、会社にとって最適な組み合わせを見つけ出し、それを実践していくことが重要であると言えるでしょう。

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