現場の作業を効率化できる遠隔支援。そのメリットとは
2021年 07月29日
遠隔支援とは、現場作業員と熟練指導者が映像・音声をネットワーク上で共有し、離れたところから、リアルタイムで技術指導などの遠隔サポートを行うことです。今日では、ネットワークの発展とモバイルデバイスの進化により、さらに手軽に取組めるようになっています。
遠隔支援は、人材不足の中で、現場のミスをなくし、作業効率をアップさせることができるシステムとして注目されています。また、現場作業員の技術教育にも活用できとして高く評価されています。
しかし、この遠隔支援の認知度はまだまだ低いようです。ここでは、遠隔支援とは何か、そのメリットとは何かなどについて解説していきます。
遠隔支援とはどのようなシステム?
遠隔支援とは、現場で作業している状況を、映像や音声などネットワークを介して管理室や本部と共有できるシステムのことです。熟練の技術者や管理者が現場にいなくても、離れたところからリアルタイムで現場の作業員をサポートすることができます。
現場の作業員は、スマートフォンやタブレットを使い熟練作業員と現場の状況を共有し、リアルタイムに作業の指示を受けることができます。また、分からないところをその場で質問し、疑問を解消することもできます。これにより、現場の作業員が複雑な作業も正確に処理できるようになるだけでなく、作業員のミスを未然に防止することもできます。
万一、現場で緊急の問題が発生した場合にも、熟練の技術者の指示のもと、スムーズで的確な対応が可能となります。
遠隔支援の4つのメリット
遠隔支援では、現場の作業効率を向上できることはもちろん、現場の人材不足の解消や技術教育の充実、作業データの蓄積と分析など、さまざまな利点があります。ここでは、遠隔支援の4つのメリットを解説します。
(1) 現場の作業効率の改善
現在、人的資源の面からも、現在のコロナ禍の状況からも、熟練の作業員が若手の作業員につきっきりで技術指導することは難しくなっています。
そうした状況の中で、これまでは、現場作業員は電話やメールで熟練技術者の指示を受けていました。しかし、音声や文字・画像だけでは、現場の詳細が分からず的確な指示を出すことは困難でした。
また、緊急事態などでは、上司や技術指導員が現場に出向かなければならず、解決までには時間がかかってしまっていました。遠隔支援システムでは、現場の作業者は離れた場所にいる技術指導者と、画面と音声を通してリアルタイムにコミュニケーションをとることができます。指導者は、現場と作業員の状況を正確に把握することができ、的確な指示を出すことができます。遠隔支援によって、現場の作業を効率よくスムーズに行うことができます。
(2) 現場のミスを未然に防止
遠隔支援システムでは、現場の作業員と本部の技術指導者とが、現場の状況を正確に共有することができるため、現場作業員の誤った判断による作業ミスを未然に防ぐことができます。これまでの音声や静止画によるコミュニケーションでは、現場の状況が正確に伝わらないこともあり、それがミスの原因ともなっていました。現場の作業員の誤った判断により、作業が遅れたり、手戻りが生じたりしてしまうこともありました。
遠隔支援システムでは、正確な現場の状況の共有と的確な指導員の指示により、現場のミスを最小限に抑えることができます。このため、生産効率も向上させることができます。(3) 社内の技術研修の資料ともなる
遠隔支援システムでは、現場作業の指導の内容を記録・保存しておくことができます。これを基に、若手作業員を育成するためのマニュアルや技術教育資料を作成することもできます。また、遠隔指導の動画の再生を見ることで、若手の作業員は手順の予習やコツの修得をすることもできます。
座学での技術教育でも、リアルな画像を見せることができ、現場に配属される前の新人作業員もイメージをつかみやすくなります。さらに、中堅エンジニアの技術力アップのための研修に活用することもできます。(4) データの分析で作業の改善にも貢献
遠隔支援システムの画像やデータを分析することで、現場作業の課題を見つけ出すこともできます。どの工程で時間がかかっているのか、どの作業でミスが起こりやすいのかなど、一連の作業の分析や振り返り等に活用することができます。そのデータから、作業の改善や効率化の方法を見いだすことができ、より一層、現場の生産効率化を実現することができます。
まとめ
人手不足や熟練作業員の引退などにより、作業現場の技術伝承が難しくなっています。若手の作業員や外国人作業者の技術指導には、文章や音声だけでなく、動画を活用することが効果的です。リアルタイムで的確な技術指導ができる技術支援システムで、現場のミスをなくし、作業効率を向上させることができます。 また、遠隔支援システムは、本来の目的である現場作業員の技術支援だけでなく、その模様を録画しておくことで、マニュアルや技術教育資料の作成にも役立ちます。 働き方改革が求められている今、現場作業員の人手不足に悩む中小製造業にとっても、遠隔支援システムは、重要なシステムとなることでしょう。