会議の生産性が劇的に進化する。 ~みんなで作る会議進行術のポイント~
2021年 10月27日
「働き方改革」が求められている中で、製造の現場では、生産性向上に向けた数々の活動を実施し、成果を上げています。しかし、忘れられがちなのが会議の生産性です。
会議のプロセスを変えれば、会議が変わります。ここでは、ファシリテーションを中心に効率的な会議の仕方をご紹介します。
これまでの会議にありがちだった問題点
生産性の悪い会議には、いくつかの問題点が潜んでいます。ここでは、主な3つの問題点を見ていきましょう。直接顔を合わせることのないオンライン・ミーティングも増加している今日、会議の原点をしっかりと踏まえておくことが重要です。
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・会議の問題点①:一部の出席者による不毛な話ばかりが続く
良くない会議にありがちなのが、一部の出席者がどんどんと話を展開していってしまい、ほとんどの出席者が「その話、今話す必要ありますか?」「どんどん脱線して勝手に盛り上がっていませんか?」などと思ってしまう状況です。
特に、上層部やベテラン社員がいると、どんどんと昔話などが膨らんでしまい、何を決めるための会議だったのかわからなくなってしまうという場面も良くあります。 ・会議の問題点②:せっかく議事録を作成しても、後で誰も見ていない
会議を開いたら議事録に残すことが重要です。しかし、よくありがちなのが、若手社員や後輩社員に議事録の作成を押し付けてしまっているケースです。
さらに、若手社社員が残業までして議事録を仕上げたとしても、上司やベテラン社員から修正の指摘が相次ぎ、担当した若手社員にさらに大きな負担をかけてしまうことがあります。
そうした苦労をして、議事録を完成させたとしても、後から見る人はほとんどいないという場合も多いようです。・会議の問題点③:上層部ばかりが話していて、自由に発言できない
声が大きく話し好きの上層部の方が出席している会議では、一方的に話が展開され、他の出席者はそれを聞いているだけという会議もよく見られます。会社の上層部で決まった事柄を知らせる事務連絡的な会議であれば、これでもいいでしょう。しかし、何かを決めるために集まった会議である場合は、出席者のみんなが納得できる結論にはなりにくいことが多いようです。こうした状況の会議では、せっかく決定した事項もスムーズに実行されにくくなってしまいます。
会議を進化させるための2つのポイント
ここでは、これまで見てきたような会議の問題点を解決し、会議を効率良く進めるためのポイントを2つご紹介します。
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・ポイント①:議事録を画面に映して共有しながら会議を進める
「不毛な話に脱線してしまう」や「後から見られない議事録」などの問題点を解決するためのヒントが、議事録を書きながら会議を進めるという方法です。
書記の担当者は、会議の進行とともに議事録を作成していきます。そして、それを会議室のスクリーンや各出席者のタブレット・ノートPCの画面などに映して、出席者全員で共有していきます。
出席者が同じ議事録作成の過程を見ることで、話しの焦点が明確になります。また、議事録の文言訂正なども、その場で指摘することができます。
こうすることで、無駄な話も少なくなり、会議も短時間で進めることができます。また、議事録を共有していることで、納得感の高い結論が得られやすくなります。 -
・ポイント②:議事録作成役が会議をファシリテートしていく
議事録を作成している人は、単なる書記係ではなく、実は会議全体をコントロールすることができます。議事録作成者は、それまでの話し合いの内容をまとめながら、発言していない出席者に発言を促すこともできます。また、次の議題に移行するタイミングを図ることもできます。これは、まさに会議のファシリテーションをしているといえます。ファシリテートされた会議では、出席者全員が納得のいく、スムーズな会議になるというメリットがあります。
ファシリテーションで会議の生産性を上げる
ファシリテーションは、会議を円滑に進め、全員が納得できる結論を導くための会議手法として、近年、注目を集めています。
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・ファシリテーションとは
ファシリテーション(facilitation)とは、会議やミーティングをスムーズに進める手法のことです。ファシリテーションの進行を担う人をファシリテーターと呼びます。
ファシリテーターは、出席者の発言を促しながら、多様な意見を瞬時に理解・整理して、重要なポイントを引き出していきます。さらに、議論を広げ、最後には議論を収束させて、合意形成をサポートしていきます。 -
・ファシリテーションの目的
ファシリテーションの最大の目的は、会議出席者の納得感を高め「腹落ち感」を生み出すことにあります。「腹落ち感」とは、各出席者が会議の目的と理由を深く理解しながら、あるべき姿を自ら描き、当事者意識を持って納得している状態を指しています。
一方的に指示や命令をだしても、人はなかなか主体的には動いてはくれません。理想的な会議のゴールは、それぞれの知恵とやる気が引き出され、自分から主体的に動き、協力して問題解決にあたることができる状態になっていることです。
ファシリテーションは、いわば「腹落ち」を生み出すコミュニケーション技術であり、適切に行うことができれば組織としての意思決定力や問題解決力も高まります。 -
・ファシリテーションのメリット
ファシリテーションの会議では、話が脱線しそうになったとしてもファシリテーターが軌道修正してくれます。また、同じように論点のずれも、その場で戻すことができます。
出席者が発言しやすい雰囲気を作ることもファシリテーターの役割です。そこから、新しいアイデアも生まれやすくなります。
ファシリテーションを上手に進行させるためのコツは、他人の意見を否定しないことです。ファシリテーターは、一つの発言に対して「今のご意見に対して、反対の方はいますか」などと対立を煽るような議事進行をしないことになっています。最終目的は、会議をスムーズに進め、出席者の納得のいく合意形成にあるのです。
まとめ
働き方改革により、職場では時間当たりの生産性や効率性の向上が求められています。生産の現場では、「効率化」の意識が浸透してきていますが、不思議なことに、会議の「効率化」は遅れています。効率の悪い、旧態依然とした会議が続けられている企業も少なくありません。
まずは、会議の「効率化」を意識して、短時間で活発なアイデアが飛び交う会議を目指していきましょう。そのためには、ここでご紹介したファシリテーションの手法を導入することも効果的です。機会があれば、ぜひ、お試しください。
[参照URL]
GEMBAコンサルティング / GLOBIS CAREER NOTE