新人教育マニュアルとは? 盛り込み内容・作成のポイントを解説

2022年 02月21日

まもなく、職場に新人を迎える季節となります。そこで、新入社員の指導や研修・OJTなどの際に利用する新人教育マニュアルについて、その概要とマニュアルに盛り込むべき内容、さらに実際にマニュアルを作成する際の注意点などについて解説します。

新人教育マニュアルはなぜ必要なのか

新入社員は、入社直後は右も左も分からず戸惑っているのが普通です。そうした新人をしっかりと戦力となる人材に育て上げていくためには、新人教育の進め方やその内容が重要です。そこで必要となってくるのが、新人教育マニュアルです。
企業の特性を踏まえた実践的な教育マニュアルが作成できれば、効率的な新人教育が実現できます。優れた新人教育マニュアルが作成できれば、新入社員の理解も深まり、早期に業務に慣れて、事業の発展に貢献してもらうことができます。
新人教育マニュアルには、その企業で働く社員として最低限必要な知識や考え方、会社のルール、業務のコツなどを伝えていく役割があります。新入社員に一刻も早く学生気分を払拭してもらい、仕事へのモチベーションを高め、希望をもって業務に臨んでもらうためにも、新人教育マニュアルは重要です。

新人教育マニュアルに盛り込む内容

一般的には、新人教育マニュアルには下記のような内容が盛り込まれています。

  • ・基本的なビジネスマナー

    社会人経験のない新入社員には、基本的なビジネスマナーを覚えてもらう必要があります。
    得意先や取引先など社外の人への挨拶の仕方や名刺交換のマナー、電話対応の仕方まで、基礎的なビジネスマナーを身につけてもらえるようにマニュアルに記載しておくことも大切です。
    また、いわゆる「ホーレンソー」(報告、連絡、相談)といった社内における上司や同僚間でのコミュニケーション方法やチームでの仕事の進め方についてなどの基本を教えることも重要です。

  • ・企業理念

    今後、その会社の社員として活動していくためには、会社の経営方針や目指すべき目標を理解しておいてもらう必要があります。企業理念(ミッション)やビジョン、沿革なども教育マニュアルには盛り込むべき内容です。さらに、それを実現するために一人ひとりが社員としてどういう行動を求められているかについても説明しておくとよいでしょう。

  • ・業務の全体像

    新入社員に、はじめから業務の細かい部分を説明しても、なかなか理解できないことがあります。まずは教育マニュアルで業務の全体像を示して、把握してもらう必要があります。
    自社の属する業界の概要と、業界の中での自社のポジションなどを概観できるように説明します。さらに、自社のビジネスモデル、そして各々の部署の役割、またその部署の大まかな担当業務を理解してもらった上で、それぞれの業務について説明すると分かりやすくなります。

  • ・目標設定と主体的行動の重要性

    日々の仕事で目標を設定していくことの重要性や、その目標達成に向かって主体的に行動していくことの必要性について説明をしておくことも大事です。
    一人ひとりの夢や目標を再確認してもらい、今後、どのようなキャリアを歩んでいきたいのかを自己確認してもらうことが大切です。

  • ・モチベーションの維持について

    入社後間もなくは業務に不慣れで、成果が思うようには上がらず、さらに環境の変化など、さまざまな要因からストレスをためてしまう新入社員もいます。
    そこであきらめてしまわずに、困難な状況を乗り越えていくために、どのように日々のモチベーションを維持していくのかを教育することも重要です。
    新入社員の離職原因の大部分は、モチベーションの低下だといわれています。一人ひとりが自分の向かう方向性をしっかりと捉え、日々、成長を感じながら働く習慣や考え方をマニュアルに書き込んでおくことも大事です。

  • ・ITリテラシーと情報セキュリティ

    今日では、どのような職場でもIT技術の活用が必須となっています。会社人生のスタート時点で、新入社員には基本的なITスキルを身につけておいてもらう必要があります。
    特に、近年の傾向としてスマートフォンに親しんでいる若者が多いことから、パソコンの操作に不慣れな新人も増えています。パソコンの基本操作は、誰でもが理解しているという前提は捨てて、復習を兼ねて基本的な操作から研修しておくことが重要です。また、同時に情報セキュリティについても理解しておいてもらうことが大切です。

新人教育マニュアルの作り方

次に、新人教育マニュアルを作成するための4つのステップについて解説します。

  • Step1 目標を設定する

    まず、新人育成の「目的」や「目標」を明確にしておくことが大切です。企業ビジョンとの整合性や中長期の経営目標から逆算し、その実現のためにはどのような教育プログラムが必要となるかという観点から、新人教育マニュアルを構成していきます。

  • Step2 新入社員に必要なスキルの洗い出し

    新入社員がマスターすべき業務内容を洗い出していきます。そして、そのために必要とされる知識やスキル、能力について具体的に整理していきます。その中から、新入社員にいつまでにどのような知識・スキルを身につけてもらいたいかが見えてきます。
    また、直接的な業務以外にも、現代の若者に不足しがちな論理的な思考力やパソコンの活用方法、セルフマネジメント(自己管理)などについても必要な要素をピックアップしてマニュアルに盛り込んでいきましょう。

  • Step3 具体的にカリキュラムを作成する

    育成目標と必要な知識・スキルを踏まえて、実際にカリキュラムを組み立てていきます。複数の要素の中から、特に重要な項目を優先的に学べるようなカリキュラムにしていくことがポイントです。新人教育マニュアルでは、文字だらけにならないように、写真や図表・イラストなどを意識的に盛り込んで、読みやすいフォーマットにしていくことも重要です。

  • Step4 フィードバックを反映していく

    新人教育マニュアルを使って、実際に研修を行った後も、研修担当者や上長からのフィードバックを受けて、カリキュラムに手を入れていくことも大切です。また、研修を受講した新入社員からもフィードバックを受けられるように仕組みづくりをしておきましょう。

新人教育マニュアル作成の注意点

新人教育マニュアルに限らず、マニュアルには必要な情報が過不足なく、分かりやすい表現で書かれいてることが重要です。使いにくいマニュアル、必要なポイントが抜けているマニュアルは、結局は、活用されずに終わってしまいます。有効に「使える」新人教育マニュアルとするために注意すべき点をご紹介します。

  • (1) 目次化して、全体が見通せるような構成に

    マニュアルには、多くの項目が盛り込まれています。研修では、順を追って進められるため、複雑な項目建てになっていてもそう問題は起こりません。しかし、新人教育マニュアルは、配属後も現場で活用されていきます。その時、必要な項目がすぐに見つからないようでは、役に立ちません。構成を目次化して、全体の項目が見通せるようにしておきましょう。

  • (2) 誰にでも理解できる記述に

    新人教育マニュアルでは、遠回しな表現やあいまいな言葉を使わずに、誰でもが理解できる簡潔な書き方にしておく必要があります。

  • (3) 重要なポイントは一目でわかるように

    重要な箇所は、太字やアンダーラインを施しておくなど、一目で分かるようにしておくことも大事です。また、別枠を設けて重要なポイントをまとめておくことも効果的です。

  • (4) 新人の視点に立って書いていく

    マニュアルでは、その業務に精通している担当者が内容を書いていくため、つい必要なステップを省略してしまう場合があります。その業務が初めての人にも伝わるかどうかを意識して、冗長にならない程度に、丁寧に書いていきましょう。
    また、業界や会社独特の技術用語や専門用語については、つい、そのまま使ってしまいがちですが、新人でも意味が分かるように注意して書いておいてください。

  • (5) 定期的にアップデートを

    業界の動向はもちろん、個々の作業の流れも時々刻々と変化していくものです。そこで、一度マニュアルを完成させたとしても、常に見直してアップデートしておく必要があります。
    コストや手間の面から、前年度のマニュアルを流用することがありますが、その場合でも、アップデートされているマニュアルであれば、最低限の見直しで使いまわすことができます。

まとめ

新人への教育は、会社の将来を築いていく作業でもあります。新人教育のテキストとなる新人教育マニュアルも重大な役割を担っています。理解しやすく、活用しやすいマニュアルを作成することが、未来の人材を育てる第一歩となります。ぜひ、効果的なマニュアル作りのご参考になさってください。



[参照URL] BOXIL / テンプレートBANK

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