最近話題のメタバースとは何? どんな可能性があるの?

2022年 03月04日

ゲームやSNSの世界では限定的な形で少し前からメタバースを取り入れたものが見られましたが、近年はこの技術をさまざまな形でビジネスに取り入れようとする動きが広がっています。ここでは、メタバースの基本と、ビジネス、さらには製造業における可能性についてご紹介します。

メタバースは、現実世界と仮想世界を超越した世界

メタバースは、「meta(超越)」と「universe(世界)」という2つの単語をつなぎわせて作られた造語です。つまり、メタバースとは、現実世界と仮想世界を超越した世界という意味です。
もともとは、SF小説で使われた言葉から取られたものでした。
メタバースを一言で表現すると、インターネットでつながったバーチャル空間ということができます。
メタバースでは、インターネット上の仮想空間で、自分のアバターを作成して行動できます。また、アバターの形をとっている他のユーザーとも仮想空間で交流することができ、非現実的な体験を味わえるのもメタバースの特長です。
最近では、メタバース空間のゲーム内でコンサートが開催されるなど、活用方法も進化しています。任天堂から発売されている「あつまれどうぶつの森」では、ゲーム内で旅行ができるなど、メタバースの世界と現実世界を同じような感覚で楽しむことができるようになっています。
近年では、ITが大きく進歩しており、メタバースの自由度も飛躍的に向上しています。そのため、ゲームだけではなく、仕事上のコミュニケーションに使うことも可能になっています。こうしたことから、メタバースをビジネス分野にも活用しようとする動きも活発になっています。

メタバースは、VRとはどう違うの?

「仮想」に関連した技術としてVRがあります。また、VRと似たような言葉としてARがあります。
このARは、現実世界をベースにして追加情報を付加する技術です。建物が建築中であっても、その内部にどのようなインテリアが施されるのか、ARで見ることができます。また、VRは仮想空間にユーザー自身が飛び込む形で、部屋の中に居ながら、ジェットコースターに乗ったときの体験をすることができます。
VRの本来の意味は、このように仮想空間を体験できるデバイスやツールを指すもので、インターネット上に形成される仮想空間を指すメタバースとはやや異なります。
VRは、基本的に一人の人間が仮想の情景や空間を体験できるというものですが、メタバースではインターネット上で他のユーザーと交流できる空間で、コミュニティの形成に主眼がおかれている点が違います。

メタバースをビジネスで活用するメリットとは?

ゲームやエンターテイメントなどの活用で発展してきたメタバースですが、ビジネスに用いることでさまざまな効果が期待できます。そのメリットのいくつかをご紹介します。

  • ・研究のシミュレーションとディスカッションが可能に

    メタバース上では、現実には実現不可能な環境や状況を創り出し、それを多くの人と共通体験することができます。例えば研究所では実験できないようなテーマも、メタバース上でシミュレーションをして、それを各研究者が同時に体験することができます。メタバース上ではシミュレーション結果について参加者がその場でディスカッションをすることができ、イノベーションの促進に貢献することもできます。

  • ・ビジネスの生産性を飛躍的に向上

    インターネット上の仮想空間であるメタバースを使えば「距離」の制約も大きく緩和することができます。メタバースでは、豊富な情報量で顧客や関係者と共通の体験を持つことができるため、既存のコミュニケーション・ツールでは難しかった商談やミーティングが実現できます。このため、ビジネスをさらに効率的に進めることができます。

  • ・ストレスの少ない感染症対策にも

    新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、ビジネスの世界でもテレワークやテレミーティングが一気に普及してきました。しかし、いまでもテレワークやミーティングに対してストレスを感じている人が少なからずいることも事実です。コロナ禍でのビジネスを、さらに円滑に進めていくためのツールとして、相手と同じ仮想空間でコミュニケーションのできるメタバースに期待が集まっています。

メタバースはビジネスでどのように活用できるの?

メタバースの可能性は無限に広がっていますが、ここでは、ビジネス用として具体的にどのようなことに応用できるのか、そのいくつかをご紹介します。

  • ・リモート会議や緻密な協働作業

    既存のオンライン・コミュニケーション・ツールでは、動画やプレゼン資料を共有して話し合うことができますが、メタバースではさらに進んだコミュニケーションが実現します。メタバースでは、環境や状況も含めたあらゆる事柄が共有でき、しかも、アップデートしながらディスカッションを進めていくことができます。それぞれのアバターが実際に対面しているかのように臨場感のあるやり取りができるので、白熱した議論が展開できます。

  • ・臨場感のあるバーチャルイベント

    メタバースでは、これまでのWebセミナーに比べて、できることが圧倒的に増えてきます。非現実な環境も、臨場感をもって参加者に提供できるので、顧客体験をさらに高めることができます。新技術の発表やビジネスの紹介でも、より自由で質の高いコンテンツを、参加者と共有することができます。

  • ・仲間意識を醸成できるバーチャル社員研修会

    アフターコロナ時代も、全国に支社・支店を持つ会社では、多くの企業でリモートでの社員研修が継続されていくことと予想されています。メタバースを活用すれば、あたかも社員の皆がそこに集まっているような体験をしながら、臨場感のある社員研修ができます。このため、社員のモチベーションもアップして、仲間意識も高まります。

BMWではメタバースで複製工場を作り製造をシミュレーション

メタバースは、製造業でも活用され始めています。ここでは、その代表例のひとつBMWの事例をご紹介します。

BMWでは、「Omniverce(オムニバース)」というシステムを使って、BMWの複製工場をメタバース上に作成しました。そこでは、ロボットと人間が助け合いながら、一台一台異なる自動車を製造するというシミュレーションを行っています。シミュレーションの結果、1分間に1台(年間では200万台以上)の自動車が製造できることが分かりました。
「Omniverce(オムニバース)」では、メタバースの複製工場をデジタルツインとして完璧な状態で作り出すことができます。このメタバース上の複製工場では、実際の工場で使われているものと同じAIやソフトウェアの環境が整備されています。そのため、実際の人やロボットを動かすことなく、生産状況を確認することができます。
BMWのメタバース上に作られた複製工場の最終目的は、新しい工場のレイアウトを固めることです。メタバース上の工場でシミュレーションすることで、レイアウト計画に必要な時間を短縮し、柔軟性と精度を高めることができました。その結果、計画に必要なプロセスを30%も削減することができたということです。これは、まさに製造業におけるメタバース活用の好事例と言えます。

※画像はイメージです

まとめ

メタバースは、ゲームやイベントなどで急速に普及しているシステムですが、ビジネスの世界でも大きな可能性を秘めています。BMWの事例でも分かる通り、製造業においても新しい活用法が生みだされつつあります。
各企業が、さらにメタバースの技術を磨き、応用方法を模索していくことで、長足の進歩も期待できます。今後のメタバースの動向にも、ぜひ、ご注目ください。



[参照URL] Career TANQ / ROBoIN 自動化・ロボット専門情報サイト

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