待ったなしの工場自動化で人は減る?自動化のメリットやデメリットまで深掘り
2022年 11月22日
映画館に行けばフロントに人はいなく、自動で発券するシステムに変更されており、ガソリンスタンドに行けば自らで給油する時代です。そんな世の中ですが、工場も例外ではありません。この記事では、自動化されていく工場について詳しく深掘りしていきたいと思います。
どうして工場が自動化されているのか
日本では、少子高齢化が進み現役バリバリで働く世代が減っています。この傾向は今後もますます進んでいくと考えられており、多くの業界で更に人手不足が叫ばれるようになると考えられています。
工場など高度な技術を必要とする技術者の数も足りなくなっていくと考えられており、生産が追い付かなくなってしまっては企業活動を維持できません。そのリスクを回避するために、人が少なくなっても製造が縮小しないよう工業用ロボットや自動生産システムを導入するなど工場の自動化が進められています。
また、人員の削減や人員の確保のために海外へ工場を移転させている企業も多く存在しています。しかし、近年では海外の人件費も上がってきており目立ったコスト削減にはならない状況になってきました。移転先の国によっては技術者不足から品質を保つために従業員への教育を行うのに多くの時間がかかってしまうでしょう。
そのため、工場自動化を進めることにより工場の海外移転をしなくても済み、国内での自動化を進めることでリスクを抑えながらコストの削減ができるため工場の自動化が進んでいるという背景もあります。
自動化はどの分野で進んでいるのか
自動化は、重工業や医療品、食品など様々な分野で進んでいます。
例えば、あるカメラ工場では約130億円を投資して人工知能ロボットを導入しました。結果として熟練の技術者が手作業で行っていた細かい作業をロボットが行うようになり、完全な自動化を実現させました。生産コストは20%削減を目指せる環境が整っています。
また別の電機メーカーでは、工場内の組み立て作業を自動化した自動組立ラインを導入している工場があります。この自動組立ラインを利用することで、製造にかかる工程をほとんど機械に任せることができるようになりました。
製造にかかる時間や人員を削減することができ、削減された人員を別の新規事業に回すことで企業の更なる成長につなげることが出来ました。
工場自動化のメリットは
工場自動化のメリットはかなり大きいです。どんなメリットがあるのか確認していきましょう。
人件費が抑えられる
工場を自動化することで得られる一番のメリットは、人件費が抑えられるという事です。近代工業が発達した大正時代や高度経済成長で沢山仕事があった時代には、多くの人間が工場で作業を行うのが一般的でした。
人件費の高い日本で、多くの人間を生産工程に組み込んでいると生産コストが上がってしまい利益が減ってしまいます。自動化することで人件費が抑えられ、安くていいモノをエンドユーザーに届けることが可能でしょう。
ヒューマンエラーが減る
人間ですから、疲れや勘違いからミスを犯す可能性はあります。しかし、自動化やロボット化を進めることで、安定した制度の高い作業が実現できヒューマンエラーを抑えることができるでしょう。
疲れによる生産効率の悪化も抑えられるため、期間内にどれだけの生産ができるのかも計算ができるため生産管理側も余計な業務を減らすことができます。
採用・育成にかける時間が少なくなる
人手不足が叫ばれる中、よほど有名で人気な企業でなければ採用活動は非常に難航します。そんな状況なので、一定以上のレベルでなくても採用し教育していくことで戦力にしようと考えるため育成の時間も多くかけなくてはなりません。
ですが、工場を自動化すれば最低限度の人数で生産することが可能となり採用や教育にかかるリスクを抑えることができます。
品質が向上する
自動化すると品質の向上が期待できます。人間の作業だとどうしても品質に差が出たり作業の速さにも差が出てくるでしょう。
しかし、機械で作る場合には数値的に製造が進んでいくため人間の作業で出るムラや誤差が生まれにくくなります。そのため、品質が均一化された製品を作ることができ結果的に品質の向上に繋がるのです。
工場自動化にデメリットはあるのか
メリットがあればデメリットもあるのが工場の自動化です。大きなメリットがある反面、しっかりと理解しておきたいデメリットもあるのでご紹介していきます。
機械に不具合があれば、生産工程に影響がでる
工場を完全に自動化していると、機械が動かなくなった場合生産が止まってしまいます。人間であれば風邪などの不具合が起きても、他の人に変わってもらえれば生産活動をストップせずに生産を続けることができます。
自動化にはこのようなリスクもあるので対処法などしっかりと議論しマニュアル化しておくべきでしょう。
職人レベルの繊細な工程では手作業に勝てない
かなり高い技術を要する職人レベルの繊細な作業は、機械作業には向きません。熟練の職人技術は、長い時間をかけて培ってきた経験と勘に頼っているところが多く語源化や数値化することが難しいです。
上手く数値化できない場合、機械化することは難しく職人レベルの作業はまだまだ機械に奪われるまで時間がかかるといえるでしょう。
導入には高額な費用がかかる
工場を完全自動化する場合、莫大な設備投資が必要になります。長期的に見て機械化することで人件費は押さえられますが、短期的に高額な金額をかけると運転資金がショートする可能性もあります。
将来的な人件費と短期的な設備投資にかかる金額を天秤にかけて、じっくり議論する必要があるでしょう。
工場自動化は労働者にとってネガティブな事じゃない
労働者が減らされてしまう可能性もある工場自動化ですが、労働者にとってはネガティブな事ばかりではありません。自動化により出た余剰人員を新規事業に回したり、機械のオペレーターやメンテナンス作業員になることで新しいスキルやキャリアを獲得する事ができます。
機械に仕事を奪われると思うのか、自動化という新しい風に乗って更に自己をレベルアップさせるのかは自分次第でしょう。
参考URL 工場の自動化やロボット化によって得られるメリットとは? | Fact ism-ファクトイズム –工場が次々と自動化へ! そのメリットとは?人の仕事は減らないの?|工場タイムズ (04510.jp)