生産を管理する立場なら必ず聞くであろう「トヨタの生産方式」とは

2023年 02月10日

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皆さんは『トヨタの生産方式』という言葉をご存知でしょうか。生産管理の世界で生きている人などは、耳にしたことがあるかと思います。この記事では、そんなトヨタの生産方式についての内容やメリットデメリットをご紹介していきます。

トヨタ生産方式とは

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トヨタ生産方式は、トヨタ自動車が徹底的に無駄を排除して生産にかかる原価を下げるために作り出された生産方式です。

トヨタの生産方式と従来の生産方式の違いは、在庫についての考え方が違うと考えられます。トヨタの生産方式が世間に知られる前までは、多くの企業で大量に同じ製品を生産するというフォード方式が採用されていました。

フォード方式では、大量に同じ製品を生産するためコストを抑えつつ高品質な製品を製造することが可能です。しかし、フォード方式には大量の在庫を抱えてしまうというデメリットが存在しています。トヨタ自動車もトヨタ生産方式を取り入れる前はフォード方式を取り入れており在庫を抱えていました。その在庫は時に経営を圧迫することもあったそうです。

そんな状況を打破するために、創業者の豊田喜一郎さんは作りすぎない生産方式を試行錯誤しながら実際の現場に導入していきました。

試行錯誤されて至った今日のトヨタ生産方式は、無駄な作業や無駄な在庫を徹底的に排除することに注力したものになっています。

理念の中心

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トヨタ生産方式の理念は、『ジャストインタイム』と『自動化』です。その中でも特にジャストインタイムは、JITと呼ばれ世界中の企業がこぞってその考え方を取り入れるほど高い評価を獲得しています。ここでは、そんなジャストインタイムと自動化について説明していきます。

ジャストインタイム

ジャストインタイムとは、お客様が求めているものを必要な分だけ生産していくことです。ジャストインタイムでは、お客様が求めるものだけでなく工程内でも必要なものを必要な分だけしか作りません。なので、原材料や部品などの在庫も最小限に抑えてあります。

このジャストインタイム導入には、平準化生産ができていることが前提です。平準化生産とは、いつも生産量や生産品目が一定で流れている状態を指します。平準化生産ができていることを前提に、以下の三原則を満たして行くことも必要です。

・工程を流れ化すること
・ピッチタイムを決めること
・後工程引き取りを徹底すること

※ピッチタイムとは、1つの製品にかかる時間のことです。

※後工程引き取りとは、後工程が必要なものを必要な数だけ前工程から引き取り前工程は後工程に引き取られていった分だけを生産する仕組みのことです。

ジャストインタイムを実現することで、最低限の在庫でも顧客ニーズを満たすことができます。

自働化

トヨタの自動化はニンベンのついた自働化です。トヨタ生産方式では、後の工程に不良品を流さない、省力化を実現するため製造する機械に自動停止機能が付きます。その上で、人間が簡単に機械を停止する仕組みもありそれを総称して自働化と呼ばれています。

従来の方式では、不良品の量産を防ぐことがなかなかできなかったためトヨタではこの人を介した自働化が重要視されることになりました。

この自働化を支えている仕組みの1つが『あんどん』です。不良や異常が発生した工程では、すぐさまあんどんが点灯しトラブルを他の工程に伝える役割を果たします。そして、完全にそのラインを停止させてすぐに担当者が原因を特定し再発防止策を講じるのです。

トヨタ生産方式のメリット

トヨタ生産方式を導入するメリットは、徹底的な無駄を排除することによる原価率の改善や過剰な在庫の削減、最適な人員配置による利益率の向上です。

また、トヨタ生産方式は社員自身の自主性が育ち組織としての強さや会社としての成長に繋がっていきます。洗い出された課題に対して、現場で働く社員自身が『なぜ』を繰り返し自らで解決していくので問題解決能力や課題発見能力が培われていくのです。

トヨタ生産方式のデメリット

トヨタ生産方式のデメリットをあえて1つあげるとすると、そっくりそのまま導入することが難しく自社に合った形で導入していかなければならないことです。

トヨタ生産方式は、ジャストインタイムや自働化などの理念の柱に使われるツールがあります。そのツールは、他の企業にとっては見慣れないものも多いです。実際に見よう見まねで導入してもかえって現場の混乱を生むことになります。

トヨタ生産方式の導入を成功させるには

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トヨタ生産方式の導入を成功させるには、トヨタ生産方式の考え方をしっかり理解することが重要です。また、ジャストインタイムを実現するために平準化生産を実現することも必要になります。

これには、自社だけでなく顧客との交渉も必要となってくるので大きな労力がかかるでしょう。また、トヨタ生産方式を現場サイドに浸透させることも必要です。

トヨタ生産方式の導入は、一朝一夕ではいきません。基礎をしっかり固め、経営者だけでなく従業員や顧客の意識まで変えていく必要があると言えるでしょう。

参考URL
トヨタ生産方式(TPS)をわかりやすく解説!7つのムダやメリット/デメリットとは? – 現場改善ラボ (genbalab.jp)

かんばん方式とは | ものレボ (monorevo.jp)

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