TQCとは何?どんな効果があるの?

2024年 11月29日

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TQCは、総合的な品質管理手法のことを指します。

この記事では、そんなTQCについて解説していきます。

目次


TQCとは

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TQC(Total Quality Control)は、製造業を中心に企業全体で行われる総合的な品質管理手法です。

製造工程だけでなく、設計、調達、販売、アフターサービスなど全ての部門が連携し品質の向上を目指します。

その目的は、製品の企画段階から販売後まで一貫した品質管理を行うことで、製品の不良を減らし顧客満足度を向上させることです。

TQCはJIS(日本工業規格)で「市場調査や開発、製造、販売など企業活動の全段階において、経営者から作業者まで全員が参加して行う品質管理」と定義されています。

この全社的な取り組みにより、部門間の壁をなくし効率的な業務運営が可能です。

さらに、品質管理を共有することで企業の競争力が高まり持続的な成長に寄与します。

このようにTQCは単なる製造現場の管理を超えた、企業全体の品質改善を目指す取り組みです。

TQCの歴史

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TQC(Total Quality Control)の歴史は、日本が戦後復興期に直面した品質課題の克服に始まります。

1950年代当時、日本製品は「安かろう悪かろう」と評価されていました。

これを打破するため、日本科学技術連盟(日科技連)が設立され品質管理が注目されるようになります。

特に1950年、日科技連がアメリカの統計学者デミング博士を招いて開催したセミナーは、日本企業に品質管理の重要性を浸透させる契機となりました。

この流れから、優れた品質管理を表彰する「デミング賞」も創設されています。

さらに、1954年にはジュラン博士が来日し管理者向けに具体的な手法を指導したことで、アメリカ発の品質管理手法が日本独自の形で発展しました。

1960年代以降、高度経済成長期を背景にTQCは活発化し製造部門だけでなく営業や設計などの非製造部門を含む全社的な取り組みへと進化しました。

この時期に代表的な活動として生まれたのが「QCサークル活動」です。

現場の作業員が小集団で品質改善に取り組むボトムアップ型の活動として、成果を上げるとともに組織の結束を強化しました。

日本製品が高品質と評価されるようになると、その基盤となったTQCにも世界的な注目が集まりました。

特に1980年に米国で放送された「IF JAPAN CAN…Why Can’t We?」では、TQCが取り上げられ、日本発の品質管理手法が世界に影響を与えるまでに至りました。

TQCはどのような効果がある?

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TQC(総合的品質管理)の導入は、組織全体に多くの効果をもたらします。

まず、品質意識が組織内で高まることで全従業員が積極的に品質向上に取り組む姿勢を醸成します。

品質管理プロセスの見える化により問題点が早期に発見され、不良品の削減やリコールの回避、生産性向上、コスト削減など具体的な成果が得られるのもTQCの大きな効果です。

さらに、TQCは従業員のモチベーション向上にも寄与します。

全社的な品質管理により、従業員が自らの業務に責任を持ち品質改善への積極的な姿勢を通じて自己肯定感や自己実現感を高めます。

この結果、仕事に対する誇りや責任感が芽生え意識や取り組み方の変化が期待できるでしょう。

TQCはまた、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)に基づいて持続的な品質改善を実現する手法です。

このサイクルを継続的に回すことで、品質向上が組織の成長につながり競争力の強化にも貢献します。

以上のように、TQCは組織全体の効率化と成長を支える重要な取り組みです。

TQCの主な取り組み

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TQC(総合的品質管理)では、品質向上と効率化を目的に以下の取り組みが主に実施されます。

  • QCサークル: 現場の従業員が少人数のチームで改善活動を行い、モチベーション向上と品質向上を図る活動です。
  • 4M分析: 問題の原因を「材料」「機械」「方法」「人」の観点から分析し、改善策を導く手法です。
  • QC7つ道具: ヒストグラムやパレート図などの基本ツールを活用して品質問題を可視化し、解決を図ります。
  • 新QC7つ道具: 関係図やPDCAサイクルなど、実践的な手法で問題解決を支援します。
  • シックスシグマ(6σ): データ分析に基づき、不良率を極限まで下げる改善プロセスです。
  • 5S活動: 職場の整理・整頓・清掃・標準化・維持(場合によっては安全を含む)を通じて効率化と品質向上を目指します。
  • 7つのムダの排除: オーバープロダクションや不必要な作業など、業務上の無駄を排除してコスト削減と生産性向上を実現します。

これらの取り組みを通じて、持続的な品質改善と組織全体の成長を目指します。

まとめ

TQCは、企業の信用や現場力を向上させます。

ぜひ、職場に取り入れて取り組んでみてはいかがでしょう。

参考URL
TQCとは?製造業がTQCに全社を挙げ参加型で取り組むメリット

TQCをわかりやすく解説!TQMとの違い、品質向上の取り組み例とは?

TQM(総合的品質管理)とは?目的や方法、TQCとの違いをわかりやすく解説

TQC(全社的品質管理)とは?意味や歴史、TQMとの違い、具体的な手法を解説

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