品質管理には、「データ」が重要

2021年 11月29日

品質管理を行う上では、過去の経験やカンだけにとらわれずに、事実に基づく客観的な判断をしていくことが重要です。そのためには、客観的な事実を示すデータを取得・整理して、その情報を基に判断を行っていくことがポイントとなります。
生産の4Mと呼ばれる「人」「機械」「材料」「方法」を同一の条件にしたとしても、そのプロセスにはさまざまな変化があり、必ず製品のバラツキが出てしまいます。
データを上手に整理することで、何かしらの規則性を発見することができ、データのバラツキに惑わされることなく事実を掴むことができます。

事実を客観的に判断できる統計的手法を活用した品質管理を

品質管理を行っていくうえで、統計的な手法を用いてデータを収集し、解析をして品質管理の基準を決めていく活動を「統計的品質管理(Statistical Quality Control:SQC)」と呼んでいます。
品質管理のデータを収集する際に、すべての製品からデータをとるのは非効率です。統計的な手法を活用することで、抜き出したサンプルのデータから母集団の状況を推測することができます。この統計解析を使った品質管理の方法が、「統計的品質管理」といわれています。
統計学に裏付けされたデータ収集方法と解析手法を活用して、「カンやコツ」、過去の経験だけに頼らずに、事実を客観的に判断し、品質管理を行っていくことが重要です。

データ取得の目的を明確にして、正確に取得していくことがポイント

「統計的品質管理」を行うためには、解析のためのデータを正しく取得することが第一歩となります。取得したデータが、判断の基となるからです。また、他のデータと比較することもあるため、データのとり方があいまいでは、データを比較することも、適切な判断を下すことも難しくなります。
データ取得の目的を明確にして、正しいデータを取っていく必要があります。データ数を無駄に多くしたり、自分に都合の良いデータだけを取り出すようなことは避けなければなりません。

・データ収集の目的の設定例
データ収集に当たっては、下記の例のように、まず、何のために使うデータなのかを明確にしておく必要があります。
データ収集の目的:「購入する原材料や部品の管理のため」
外部から購入する原材料・部品などの特性を測定したデータを、図面や規格に定められている特性値と比較して良否の判断に活用するためにデータを収集する。

データの素性を明らかにしておくことも肝心

収集するデータの素性をはっきりさせておくことも重要です。例えば、1000個の部品の中から5個のデータをとる場合、部品パレットをよくかき混ぜて、上・中・下からランダムに採取する。1日に4個のデータをとる場合に、毎日決まった時間、間隔で採取するなど。データの目的や内容が分かるように、データの素性をはっきりとさせておくことが大事です。
測定の目的、測定日時、特性値の種類、測定した機器、測定者、測定方法などを明確に記録しておきましょう。
つまり、「5W1H(何を:What、どこで:Where、どのように:How、誰が:Who、いつ:When、なぜ:Why)」を意識して、明確に記録しておくことが大切です。

時には、データを数値化できないとか、測定器がない、時間がないなど、さまざまな障害が出てくることもありますが、あきらめずに「なにがなんでもデータを取る」という覚悟と努力が必要です。

時系列や工程間でのデータ取得が重要

「統計的品質管理」では、目的に応じてさまざまなデータを収集することになりますが、その中でも重要なのは時系列や工程間でのデータ取得です。
工程の管理や改善を行う場合、生産プロセスにおける工程間の変化に対応した適切なアクションが求められます。そのためには、時間の経過に伴う工程の変化を見極めていく必要があります。そこで、時系列のデータが貴重な情報となってきます。
また、生産プロセスの中で、想定もしていなかった変化が生じることもあります。その時に、完成品だけを解析していても、どの工程の、どの作業で変化があったのかを特定することはできません。生産プロセスにおける工程間での変化のデータを把握して、工程管理を進めることが重要となります。

まとめ

製造業では、生産の効率化に向けてのデータ活用は進んでいますが、品質管理を行うためにデータを活用している企業は、まだまだ少ないようです。
しかし、品質管理を正確に行っていくためには、客観的な事実を把握するツールとして、正しいデータが必要です。
品質の向上は、顧客満足度の向上をもたらし、最終的には業績のアップにもつながっていきます。企業の未来を拓くためにも、正しいデータ収集で、正しい品質管理を実現されていってはいかがでしょうか。



[参照URL]
工場営業力
https://happymakeproject.com/14450/

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