何かと話題の「シリコン」って、一体何?
2019年 09月28日
最近、CMなどで「ノンシリコン」という言葉をよく聞きませんか?
特に「ノンシリコンシャンプー」という使い方で耳にすることが多いと思うのですが、
オーガニック商品が人気の今、確かにシリコンの配合されたシャンプーは
なんとなく身体にも地球にも悪い…「ような」気がしてしまいます。
しかし、何故悪いのか?
ということをスラスラと説明できる方は実は少ないのではないでしょうか。
しかし、私たちの現代社会ではすでに欠かす事のできない素材となっているシリコン。
まずは「シリコン」とはなんなのか?ということを追ってみたいと思います。
シリコンは、土や岩石の中に多く含まれる物質で、
地球上で酸素の次に強い元素である「ケイ素」です。
元素記号は「Si」。…学生時代、ケイなのにSiなのか…
なんて思った覚えがある人もいるのではないでしょうか。
そのままの状態では製品の製造には活用できないため、
ケイ素原子を酸素と結合させて安定化合物である二酸化ケイ素を作り、
そこから酸素を剥がす事で単体のシリコンが作られます。
製品に組み込まれているシリコンは、全て純粋なシリコンが使われています。
人間の手で作られた純粋なシリコンの最大のメリットは、その安定性にあります。
1つのシリコン原子が4つの結合手によって周囲にある4つのシリコン原子と結合するからです。
精密機器など、高い安定性を求められる製品にシリコンが使われることが多いのも、
こうした安定性があるからなのです。
では何故、そのシリコンがシャンプーなどの化粧品に使われているのでしょうか。
実はシャンプーなどに使われているシリコンは、正確には「シリコーン」と呼ばれる、
シリコンにメチルアルコールなどの有機化合物を結合させた特殊な化合物であり、
シリコンとは全くの別物なのです。
シリコーンは吸着性に優れ、髪をコーティングする働きがあるため、
シャンプーやコンディショナーなどに使われるようになったのです。
ここにきて「ノンシリコン」が頻繁に謳われるようになったのは、
そのデメリットにも目を向けられるようになってきたからです。
シリコーンには水や汗を弾いて指通りを滑らかにする働きがありますが、
一方で抜け毛や炎症の原因になったりすることがわかってきたからです。
また、昨今の地球環境問題への意識の高さから、
シリコンの環境負荷の大きさが問題になってきています。
シリコンは微生物の力では分解できない物質ですから、
生活排水と共に一緒に流してしまうと地球に戻ることはありません。
しかし、もしもシリコンがなかったら、
私たちの今の生活の快適さは得られなかったということも事実です。
入手が比較的簡単で、耐久性にも優れたシリコンは、
半導体などの精密機器には欠かせない物質です。
これから、今まで当たり前だった様々なもののデメリットが
声高に叫ばれることが増えてくるでしょう。
デメリットはきちんと受け入れ、対策をとり、
メリットは生かし、成長させ続ける。
新しい時代はそのようになっていくといいですね。
(via 工場タイムス)