製造業における多能工とは?メリットとデメリットも解説

2023年 05月29日

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人手不足や働き方改革を背景に1人で複数の業務ができる多能工が注目されています。この記事では、多能工についてメリット、デメリットも交えながら解説していきます。

多能工とは?

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多能工とは、1人で複数の作業や業務を行うこと、および複数のスキルを持っている作業員のことです。

また、多能工化は企業の人材を多能工人材として育成することを言います。多能工化する理由としては、働き方改革や労働力不足を補うため従業員が状況に合わせて複数業務を行って生産性を維持、向上させることが目的です。

多能工は、トヨタ自動車から生まれたと言われています。元トヨタ自動車工業の副社長大野氏によって考えられました。

大野氏は、1人で複数の機械を操作している豊田紡績の仕組みと1人で1台の機械を操作して組み立てる(単能工)自動車生産の流れを比較して特定の業務だけを行うデメリットについて思案します。

大野氏は、単能工だった自動車工場の課題として自動車用の工作機械を1人の社員が複数台使いこなす多台持ちを考案しました。さらに1人で複数の製造工程を担当するといったアイデアを提案します。

そのアイデアを元に社員1人で複数の工程を担当するための知識や技術、訓練を教育して実践していったのが多能工の始まりです。

以前は同じ時間に忙しそうにしている人もいれば、暇そうにしている人もいるなど業務に偏りがありましたが多能工により、トヨタの生産方式で重要な考え方の1つと言われる『必要な時に必要な製造工程に最適な人員を配置する』という考え方のジャストインタイムが考案されました。

多能工のメリット

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ここからは、多能工のメリットについて解説していきます。

作業量の平準化

作業ごとに繁忙期やイレギュラーが発生し、1人1人の作業量の差が大きくなってしまったとしても多能工であれば業務の応援を行うことができます。

また、普段の仕事でも自分の仕事が早く終わってしまった場合他の応援に行くことが可能です。

特定の作業が遅れてしまったり残業が発生してしまうことを極力防ぐことができますし、特定の人だけに負担が集中してしまうということも防げます。

業務の見える可

多能工を育成するためには、1人に対して複数の業務に関するスキルや知識を教育しなくてはなりません。教育するにあたり、業務の手順や必要なスキルについて業務を見える可させておく必要があります。

見える可は業務の問題点を発見するきっかけにもなり、業務の合理化や作業手順の改善などにも繋がっていくでしょう。

リスク回避

単能工だった場合、担当の作業員が急に休んだりしてしまうとその業務がストップしてしまう可能性があります。

しかし多能工であれば、作業員が休んだり退職してしまったとしても業務をストップしたり、後継者を採用、教育する必要がありません。

こういったリスクを回避することも多能工のメリットと言えるでしょう。

多能工のデメリット

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多能工はメリットもあればデメリットもあります。ここからは、多能工のメリットについて解説していきます。

育成コストがかかる

多能工化を進めるにあたって社員の育成は必要不可欠です。しかも、業務が専門的であればあるほど育成には時間がかかります。

そのため育成の過程で会社側は時間コストと人材コストをかけなければなりません。かかるコストを無駄にしないためにも社員の特性に合った教育プログラムを実行していく必要があるでしょう。

現場のマネージメントが必要

多能工は複数業務を行えますが、個人個人が自己判断で業務を行なってしまうと十分に人員が足りているところで業務をしてしまったりミスが起きた時に責任の所在が不明確になってしまうなどの問題が起こってしまいます。

それを防ぐために、多能工人材に対して適切な指示を送り現場をマネージメントできる人材を用意しなくてはなりません。

評価制度設計が必要

多能工人材に対して適切な評価がなされなければ、社員のモチベーションを保つことができません。

単能工でも多能工でも評価の差が少なければ多能工の生産性は上がらないでしょう。

多能工を進めるには

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多能工を進めるにはどうすればよいのでしょうか。ここからは、多能工を進めるための4つのステップを解説していきます。

業務の洗い出し

はじめに業務の洗い出しを行い、どの業務で多能工化させるかを検討しましょう。人手が足りてない業務や効率が悪い業務などを中心にプランを立てて現場の従業員の意見も取り入れながら決定していくことが重要です。

業務の見える化

多能工化する業務を決定したら業務の見える化をしていきましょう。無駄な業務や足りない業務などを確認しつつ、業務を習得できるようなマニュアルを作っていくのも1つの方法です。

計画の立案・実施

業務の見える化ができたら計画の立案を行います。いつ、だれが、誰に、何を、どのように育成していくのかを現場の状況も考えながら決めておくことが大切です。

評価と振り返り

多能工化で重要となるのがこの評価と振り返りです。計画通りの育成はやはり難しく、問題が発生していることもあります。

定期的に現場を確認しながら必要に応じて計画を練り直していく必要があります。

まとめ

人手不足や働き方改革により今後さらに多能工化が必要となってくると予想されます。

多能工化はすぐにできるわけではないので今のうちにしっかりと計画を立てておきましょう。

参考URL
多能工とは何か? メリット・デメリットと単能工との違い (teachme.jp)

多能工とは?【わかりやすく解説】メリットデメリット – カオナビ人事用語集 (kaonavi.jp)

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