4社に1社が国内回帰?生産拠点を日本に戻している理由は?

2023年 06月19日

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近年、ニュースでよく取り上げられているのが製造業の国内回帰です。なぜ今さまざまな企業が国内に製造拠点を移しているのでしょう。この記事では、国内回帰の背景などを解説していきます。

製造拠点を海外にしていた理由は?

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製造拠点を日本ではなく海外に置いていた主な理由はいくつかあります。ここでは、その中でも大きな理由を3つ解説します。

コストの削減

製造拠点とする国によっては、人件費や原材料など大幅な削減することが可能です。近年では、輸入されてくる安価な製品により日本国内での競争力が落ちてしまった企業も少なくありません。

そのため、価格競争で対抗できるよう安価な人件費や原材料を求めて海外に拠点を置いていました。

人材不足の解消

製造業は、日本国内において人材不足が叫ばれています。しかし、日本以外の国に目を向ければ労働力の豊富な国はたくさんあります。そのため、労働力が豊富な国に製造拠点を置いていました。

国によっては、日本よりも優秀な人材が豊富に集まっている場合もあり海外に拠点を持つことはそういった人材を雇用できるチャンスにも繋がります。

輸出よりもスピーディー

日本国内以外にマーケットを持っている企業では、海外に製造拠点があった方がスピーディーに製品を供給することができます。

そのため海外に製造拠点を持つ企業が多くありました。

日本企業の製造拠点が多い国は?

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日本企業が製造拠点を置いている国は、世界の工場とも呼ばれる中国や人件費や土地の購入費用が抑えられるタイが多くなっています。

中国は世界第2位の人口を誇り、労働力も豊富です。また、GDPも世界第2位とマーケットとしても魅力的で製造拠点を置いている企業が多いです。

また、近年ではフィリピンやベトナム、最近人口世界一となり新たな世界の工場を目指すインドなど若くて豊富な人材が多くいる国が製造拠点として選ばれる傾向にありました。

日本の製造業が国内回帰している理由

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製造コストの削減などを理由とし、海外に拠点を置いていた各企業ですが最近では日本国内に製造拠点を戻す傾向にあります。なぜ今、日本に製造拠点を戻しているのでしょう。ここからは、製造拠点を国内回帰している理由を解説していきます。

コロナ禍

世界を巻き込んで大混乱を引き起こしたコロナウイルスにより、工場が稼働できず供給が遅れるといったトラブルが相次いでいました。

また、感染拡大による工場の稼働停止だけでなく輸送の制限もかかるようになり原材料や部品が手に入らない、価格が高騰してしまうといった国や地域も出てきてしまい製造計画が大きく狂ってしまいました。

このような感染症によって引き起こされたトラブルが、経営上のリスクとして捉えられ有事においても比較的安定して稼働できる国内に生産拠点を戻す企業が増えています。

円安

円安とは、外国の通貨に対して日本円の価値が下がることです。

例えば中国のお金である元に対して円の価値が下がれば、現地の通貨で現地の労働者に賃金を支払うより円で賃金を支払う日本人の方が労働力としてコストパフォーマンスが良くなります。

つまり、人件費という視点から見ると円安の時には日本の生産拠点で日本人もしくは日本に住む外国人を雇用した方が生産コストを低く抑えられる場合があります。

また、メイドインジャパンの製品は世界でも信頼度が高くブランド価値が高められるため円安の場合は日本で生産するメリットが高まると言えるでしょう。

2022年には一時1ドル150円以上を付け、2023年も円安ドル高になっているため生産拠点を日本に戻そうという動きが活発になっています。

米中貿易摩擦

米中貿易摩擦とは、貿易に関してアメリカと中国が対立していることです。中国に対して貿易赤字が続いているアメリカが自国の産業を守るため中国の製品に関税をかけたことを発端に始まり、現在でもアメリカと中国双方が相手国の製品に関税をかけています。

中国は世界の工場と呼ばれるほど各国の企業が製造拠点を置いています。しかし、中国で生産された製品はアメリカの関税対象になるため、米中貿易摩擦が本格化して以降では中国以外の東南アジアや自国へと製造拠点を移している企業が多いです。

日本企業もその流れに沿って生産コストの抑えられる東南アジアや自国に生産拠点を移す動きが活発化しています。

生産拠点だけでなく原材料も国内回帰

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製造業の生産拠点だけでなく、原材料も国内回帰させる企業が多くなってきています。やはり円安の影響で輸入コストが上がり少し前まで安価だったものが国産のものと金額が変わらなくなってきたという背景があるようです。

今までの生産コストから見たメリットが少なくなってしまったがために、原材料も国内回帰の動きが進んでいます。

また、ウクライナ情勢や台湾有事など地政学的なリスク、リードタイムの短縮など戦争やコロナ禍で見えてきたリスクへの対処を目的とした国内回帰も見られています。

まとめ

製造業の国内回帰は、日本国内の労働者にとっては雇用が増えるためメリットがあります。経営者側としては、経営的リスクを抑える効果がある一方で人手不足などで労働力を確保できないという課題も出てくるでしょう。

世界情勢へ柔軟に対応できることが、今後も重要になってくるかもしれません。

参考URL
4社に1社が「国内」「国産」へ回帰 サプライチェーン混乱による調達難が最大の理由 日本国内の「生産能力」や「コスト競争力」が課題|TDBのプレスリリース (prtimes.jp)

「製造業の国内回帰」とは?背景から詳しく解説 | Indeed (インディード)

「国内回帰」気運高まる製造業、企業トップに問われる国内・海外生産のバランス最適化|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)

海外に工場を進出させるメリットとは? ~工場設立時の流れ~ | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号 (yappango.com)

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