産業用ロボットを扱うのに資格は必要?
2024年 08月29日
工場では欠かせない産業用ロボットですが、取り扱うのに資格が必要なのか気になるところです。
この記事では、そんな産業用ロボットに関係のある資格について解説していきます。
目次
- 産業用ロボットとは
- 産業用ロボットを操作するのに必要な資格
- 産業用ロボットの教示等に関する特別教育
- 教示(ティーチング)
- 検査
- 産業用ロボットの教示等に関する特別教育の受講場所
- 資格がなくても動かせる産業用ロボットは?
- まとめ
産業用ロボットとは
産業用ロボットは、工場での製造や加工を自動化するための機械です。
日本国内の市場は急成長しており、2035年には10兆円規模に達する見込みです。
基本構成は、作業を行うアーム「マニピュレータ」、動作を制御する「制御ボックス」、操作やプログラムの調整に用いる「ティーチングペンダント」の3つです。
導入によるメリットには、労働力不足の解消、省人化、生産性向上、コスト削減、品質の安定化などが含まれます。
しかし、初期費用が高いことや専門技術者の確保が必要な点など注意も必要です。
産業用ロボットを操作するのに必要な資格
産業用ロボットを操作する作業員は、「産業用ロボットの教示等に関する特別教育」を受ける必要があります。
この資格は、ロボット操作中の事故を防ぐための法律に基づいており安全な操作を確保するために重要です。
特別教育は労働安全衛生法で定められ、ロボットを直接操作する作業員だけでなく間接的に関わる作業員にも適用されます。
これにより、作業の安全性が向上し労働災害を未然に防ぐことが可能です。
資格の取得は事業者の義務であり、無資格で作業を行うと作業員と事業者双方に罰則が科される可能性があります。
教育を受けることは単なる形式ではなく、実際に必要な知識と技術を習得する重要な機会ですので、事業者は必ず従業員に受講させるべきです。
産業用ロボットの教示等に関する特別教育
産業用ロボットの特別教育は、主に「産業用ロボットの教示」と「産業用ロボットの検査」の2つの業務に分かれています。
ここからは、そんな教示と検査の両方を説明していきます。
教示(ティーチング)
教示(ティーチング)は、ロボットの動作位置や速度、順序などをプログラムする作業です。
産業用ロボットの基本的な動作原理、安全な取り扱い方法、プログラムの設定手順などを学ぶ必要があります。
実技では、実際にロボットを操作しプログラムの調整や設定を行います。
安全に作業を進めるための知識と技術を身につけることが重要で、適切な教示が行われないとロボットの故障や作業効率の低下、接触事故のリスクが高まるためしっかりと勉強しましょう。
検査
検査は、ロボットの修理やメンテナンスを担当する作業です。
この業務を行うためには、ロボットの構造や動作原理、メンテナンス方法、安全な作業手順を学ぶことが求められます。
実技では、ロボットを操作しながら検査や修理を実施し具体的な手順を習得します。
ロボットの停止状態で作業するのが基本ですが、場合によっては動作中に作業を行うこともあるでしょう。
検査が不十分だと、故障が進行し作業全体に影響を与える可能性があります。
このように、特別教育では教示と検査それぞれに必要な知識と技術を身につけることで、安全かつ効果的な作業が行えるようになります。
産業用ロボットの教示等に関する特別教育の受講場所
産業用ロボットの特別教育は、全国各地で受講することが可能です。
主に労働基準協会連合や中央労働災害防止協会で提供されており、またロボットメーカーが実施している教育もあります。
ロボットの種類に特化した教育を受けたい場合は、使用するロボットのメーカーが提供する講座を選ぶのも良いでしょう。
講座は定期的に開催されており、受講場所によって内容に差はありません。
しかし、教示や検査の教育内容や所要時間は法律で定められているため、これに準じた内容である必要があります。
受講者が規定数に満たない場合、講座が開催されないこともあるため、複数の受講場所を確認し開催日時や募集人数を事前にチェックしておくことが重要です。
さらに、産業用ロボットの安全性をさらに高めるためには、「ロボット・セーフティアセッサ」と呼ばれる資格もおすすめです。
この資格は、ロボット特有のリスクアセスメントやリスク低減の知識を提供し、全課程を修了することでより安全な作業環境の実現に寄与します。
資格がなくても動かせる産業用ロボットは?
資格が不要な産業用ロボットには、出力が80W未満のロボットがあります。
この中で特に注目されるのが「協働ロボット」です。
協働ロボットは作業員とロボットが協力して作業を行うことを目的として設計されており、出力が低いため万が一接触しても大きな事故に繋がる心配が少なくなっています。
これらのロボットは、安全性を高めるために緩衝材を使用したり強い衝撃を受けた際に自動的に停止する機能を搭載しています。
そのため、出力が規定の80W未満であれば資格を持たない作業員でも操作が可能です。
このような設計により、安全性が確保されつつ資格取得の必要がなくなります。
まとめ
産業用ロボットを扱うことができれば、さらなるキャリアアップやスキルを習得することができます。
興味がある人は、資格取得に向けて行動してみてはいかがでしょう。
参考URL産業用ロボットとは? 導入のメリットや種類、定義などをわかりやすく解説 | 株式会社マツシマメジャテック/Matsushima Measure Teach (matsushima-m-tech.com)
産業用ロボット特別教育とは? 対象者・受講内容・方法・場所・注意点について解説 – スキルマネジメントMagazine | Skillnote
産業用ロボットの作業員に必要な資格は?特別教育の内容とは? | リンクウィズ株式会社 | ソフトウェアによって「ロボット自体が考え、動きを補正する」という新しい価値を提供します。 (linkwiz.co.jp)