製造業で採用されているリーン生産方式とは?
2023年 03月20日
製造業で広く採用されているリーン生産方式。実は、日本発の生産方式だったことをご存知でしょうか。この記事では、そんなリーン生産方式について詳しく解説していきたいと思います。
リーン生産方式とは?
リーン生産方式は、トヨタ自動車の生産方式であるTPS(Toyota Production System)を研究し、再構築した生産方式です。
リーン生産方式が広まったのは、1990年にマサチューセッツ工科大学のウォマック氏とジョーンズ氏が共同で研究を行いまとめた著書「リーン生産方式が世界の自動車産業をこう変える」がきっかけでした。
1980年代に日本からアメリカへ大量に低価格の自動車が輸出され始めるようになります。現地の自動車メーカーからは日本の低価格で高品質な自動車に対しダンピングだという避難が出ていました。
その一方でマサチューセッツ工科大学では、低価格で高品質な製品を提供できる日本の自動車産業について研究を始めます。その結果トヨタの生産方式の『ムダ取り』に着目しました。ムダ取りとは、製造工程に関する無駄を極限まで減らしていくことで製造工程全体のコストを減らそうという取り組みです。
このトヨタの生産方式は、トヨタの大野元副社長がアメリカのスーパーマーケットや自動車工場からヒントを得たものでアメリカからするとリーン生産方式は一種の逆輸入とも言えるでしょう。
リーン生産方式の基本的な考え方
リーン生産方式には、2つの柱とも言える考え方があります。ここでは、その2つの柱である『自動化』と『ジャストインタイム』について解説していきます。
自動化
ここでいう自働化とは、単純な機械化とは違い、「人間の知恵を不要とすることで不良品を生産しない仕組み」のことを言います。
自動化により、製造段階で人間の手によって不良品を検知することで、すぐに機械を止めて原因の調査・改善を行い、不良率の低減に取り組むことができます。これは、不良品を検査段階で発見するよりも効果的であり、製品の品質向上につながることが期待されます。
ジャストインタイム
ジャストインタイムは、『必要なモノを、必要な時に、必要な分だけ』という考え方に基づいたものであり、この考え方によって製造現場の『ムラ、ムリ、ムダ』を解消することができ生産効率がアップします。
この考え方はフォードの生産方式に見られる、大量生産方式とは違い、『必要なモノを、必要な時に、必要な分だけ』を実行することで余分な在庫を持たず、過剰に製品を作らないことをモットーにしています。
ジャストインタイムという考え方は、トヨタの生産方式の考え方でも大きな柱です。
リーン生産方式で取り組むこと
ここからは、リーン生産方式で取り組む4つのことを解説していきます。
ムダ取り
現場の製造工程には、多くの無駄が潜んでいます。それは、多くの現場作業員が重要だという考えのもと行っている行為の中は、『ムダ』と『付随作業(本来は無駄な業務だが現状ではやらなくてはならないもの)』、『正味作業(付加価値を高めるための作業)』があります。
その作業のなかで無駄を徹底的に排除し、付随作業を改善し、可能な限り正味作業の比率を上げていくことにより、付加価値を生む作業だけに現場作業員が集中することができるようになるでしょう。
なぜなぜ分析
なぜなぜ分析とは、起こってしまった問題に対してなぜ起こってしまったのかという疑問を投げかけてその原因を追求していく作業です。
現場の製造工程で問題が起きた場合、問題を発生させた人の責任を追及するよりも原因を追求して今後誰が作業していてもその問題を再発生させないということが大切になります。
原因の追求も、表面的な『なぜ?』の追求では解決に繋がりにくいため数回のなぜを繰り返すことで根本的な部分から解決することが可能です。
見える化
問題が発生した場合、問題を隠すのではなく周りに周知していかなければなりません。
問題を根本的に解決するためには、社内全体に問題を共有して見えるようにしましょう。問題があれば機械をストップさせるということも見える化の1つです。機械をストップさせることで、問題が起こったということを自動的に周りへと伝えることができます。
しかし、不良品など不具合のある製品が出たとして『ちょっとくらい不良品が出ても大丈夫だろう』とその不良品を脇に避けて、機械を動かし続けていれば問題を解決することは一生できません。
見える化は、問題を周りに見えるようにし関係者全員で話し合い解決していくことが目的と言えるでしょう。
改善KAIZEN
海外の製造現場においてもこのKAIZENという言葉は、当たり前に使われています。リーン生産方式では『より良い製品を、より早く、より安く』というのを目標にしています。この目標を達成するために、常に現状を改善しより良い方法へと変えていくことが重要です。
製造工程には、現場作業員が感じるやりにくさや、もっとこうすれば効率がいいのにという現状が転がっています。それを実現していくため、常に改善をするという姿勢を持つ必要があります。
ちなみにKAIZENをする時は、コストをかけるのではなく知恵を絞って効率を上げていくというのがリーン生産方式の特徴です。
参考URLリーン生産方式とは?従来との違いを解説 | クラウドERP実践ポータル (clouderp.jp)