製造業における脱炭素化の取り組みは?
2023年 10月29日
世界中で叫ばれ、推し進められている脱炭素化ですが特に二酸化炭素の排出が多い製造業でも脱炭素化が求められています。この記事では、そんな製造業における脱炭素化について解説していきます。
目次
製造業における脱炭素化(カーボンニュートラル)とは
製造業は現在、製品を生産する過程と製品を消費者が使用した時の2パターンで環境に負担をかけている状態です。
この2パターンのうち製品を生産する過程で発生する環境への負担は、工場の廃棄物や電気、ガス、石油などエネルギーの使用で発生する温室効果ガスによる大気汚染などがあります。
製造業におけるCO2の排出量の割合は、全産業の約25%とかなり大きく世界が推し進める脱炭素化の中で製造業の方針転換が1番の注目ポイントになっています。
工場の多くでは、使用する電気エネルギー量のうち生産設備での使用割合が大多数を占めており電力の脱炭素化と省エネルギー化が効果的です。
例えば電力の脱炭素化は、太陽光などの再生可能エネルギーに切り替えると良いでしょう。
また、生産設備を省エネルギーで動くものに入れ替えるのも効果があります。
しかし、現実的にはこれらの変更点はコスト的に採算が合わず簡単に行えない改革でもあります。
そこでまずは、生産過程で使われている無駄な電力の節約や電力会社の見直しなどを行なっていくことが製造業において現実的な脱炭素化の動きだと言えるでしょう。
製造業が脱炭素化に取り組むメリット
製造業が脱炭素化に取り組むメリットは何でしょう。ここからは、そのメリットについて解説していきます。
国際競争力の強化
脱炭素化は現在世界的な合言葉です。そのため、脱炭素化を行うことで国際的な競争力の強化や顧客の確保にもつながる可能性があります。
温室効果ガスの削減目標の指標となっている、SBT目標を策定しているような脱炭素化の意識が高い大企業は、原材料や部品調達の段階から削減目標を設定していることもあり、サプライヤーにも脱炭素化の目標設定を求めている場合があります。
そのため、脱炭素化を推し進めることでこういった企業にアピールすることが可能です。
逆に何の対策も行わなければ、顧客自体を失いかねないため注意が必要となります。
人材獲得の機会が広がる
脱炭素化に取り組む企業は、優秀な人材が集まる可能性があります。
地球温暖化などの環境問題は、世界中でも注目される重要事項です。環境問題のような大きな問題に対して取り組む企業の姿勢は、環境問題などの社会問題に対して高い意識を持つ人材に注目されやすくなります。
知名度が上がる
脱炭素化に取り組み、大きな成果を挙げた企業は国や地方自治体に表彰されることもありメディアにも取り上げられる可能性があります。
そうなると、知名度が上がり世間に対してもイメージアップを図ることが可能です。
融資の際に有利
現在、金融機関においては融資先の基準として脱炭素化への取り組みを織り込み優遇する措置が取られています。
世界的にも脱炭素化が叫ばれており、二酸化炭素の排出が多い産業や企業は世間からの目も厳しくなり金融機関からも厳しい姿勢を取られる可能性もあります。
将来的な資金繰りのためにも脱炭素化は企業の至上命題と言えるでしょう。
補助金について
製造業において脱炭素化は必要な投資と言えますが、設備の交換などはコストがかかります。
そのコストに対して環境省では、製造業における脱炭素化の取り組みに対して補助を行う「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業」を展開しています。
具体的には、脱炭素化の計画策定依頼にかかる費用補助や設備を入れ替える費用の補助、CO2排出量の算定・取引、事例分析などです。
詳しくは下記環境省サイトでご確認ください。
環境省公式サイト脱炭素化に取り組む具体的な企業例
既に脱炭素化に取り組んでいる企業は多数あります。ここからは、そんな企業をいくつかご紹介していきます。
日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社は、ゼロカーボン・スチールにおいてCO2削減目標を設定して取り組んでいる企業です。
2030年までに2013年比30%のCO2削減を目標にし、大型電炉での高級鋼の量産製造、水素還元製鉄やCCUSの開発など積極的な技術開発で脱炭素化に取り組んでいます。
山崎製パン
山崎製パンは、工場において製造過程で使う電気やガスの使用合理化によりCO2の削減を目指している企業です。
エネルギーの消費効率が良い、コージェネレーションシステムを導入したり再生可能エネルギーの利用を積極採用しています。
また、製品輸送の際に発生するCO2の削減にも取り組んでおりいすゞ自動車と共同でEVトラックの開発を行っています。
積水化学工業株式会社
積水化学工業株式会社は、化学企業で初めてSBTイニシアチブの承認を得ている企業です。
また、戸建て住宅には太陽光発電システムや蓄電池を導入しエネルギーの自給自足を促進することでCO2の排出を抑える省エネルギー住宅の普及を推し進めています。
まとめ
脱炭素化は、いまや世界中で取り組まれている地球全体の課題です。
少しずつでも取り組みを始め、未来の人たちにとって過ごしやすい地球環境を残していきましょう。
参考URL製造業に脱炭素化は必須!取り組む理由や脱炭素経営のメリットとは|アピステコラム|冷却・防塵・放熱など熱対策ならアピステ (apiste.co.jp)
カーボンニュートラルを目指す製造業の取り組み|省エネ工場 | キーエンス (keyence.co.jp)
製造業におけるカーボンニュートラルへの取り組みとは?|企業事例紹介! | アスエネメディア | 環境情報・ESGを基礎から解説するサイト │ アスエネ株式会社 (earthene.com)
sustainablejapan.jp/2017/08/07/sbt-initiative/26580?amp